>>101
2018年5月22日
韓国にもイスラエルにも──トランプは交渉の達人ではなく「操られる達人」
ダニエル・レビ(米政策研究所アメリカ・中東プロジェクト会長)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/post-10208.php

2018年5月23日
金桂冠は正しい、トランプは金正恩の術中にはまった
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/post-10227.php
北朝鮮の専門家は皆、金正恩が核兵器を放棄するはずがないと、長年警告してきた。トランプはそのことを知らないかもしれないが、
ボルトンは知っている。ボルトンは大統領補佐官就任前にFOXニュースに出演したとき、米朝首脳会談が早く頓挫してほしいと語っている。
そうすればアメリカが軍事行動を起こして、金の核施設に第一撃を加えられるというのだ。
そもそも金がなぜ米朝首脳会談を呼び掛けたのかについては、専門家の意見は分かれる。しかし金王朝は昔から、自らの存続を
脅かす近隣諸国を互いに争わせることを最大の戦略にしてきた。特にアメリカと東アジアの同盟国の関係を弱めること、
すなわち米韓、そしてチャンスがあれば日米に溝をつくることを目指してきた。
トランプは金正恩が絶対に受け入れない要求をすることで、この術中にはまった。首脳会談が中止か物別れに終われば、
金正恩は、自分は誠実な呼び掛けをし、国際的な基準に沿った手法(段階的で同期的措置)を提案したのに、
トランプがむちゃを要求したと主張するだろう。そして韓国とは別途、平和を探ろうとするだろう。
それは韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領にとって、むげに断りにくい提案になるかもしれない。
トランプは大きな期待をあおり、南北首脳会談の実現に貢献しただけで、ノーベル平和賞に値するとまでもてはやされた。
一部の共和党議員も、11月の中間選挙の追い風となる合意を期待している。このため引っ込みがつかなくなったトランプが、
何でもいいから「ディール」をまとめようとするのではないかと懸念する声は多い。
たとえボルトンの望みどおり、米朝首脳会談が中止に終わったとしても、南北の融和がここまで進んだ以上、トランプが再び
北朝鮮に対して「炎と怒りを見るぞ」と脅すことはできない。アメリカがそんな態度に出ることは、韓国も望まないだろう。
こうしてトランプは罠にはまった。

今回の騒動で、米朝関係の主導権を握るのは金正恩であることが、これまでになくはっきりした。それは金桂冠の談話にも
一貫して読み取れるメッセージだ。北朝鮮は核保有国であり、いかに壮大なざれ言を並べてもそれを変えることは誰にもできないのだ、と。