【ワシントン時事】
トランプ米大統領が24日に米朝首脳会談の中止をいったん決断した過程で、
ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が主導的な役割を果たしたという見方が出ている。
北朝鮮との交渉を前進させようとするポンペオ国務長官と、慎重な対応を促すボルトン氏という、
ともに大統領に忠誠を誓う2人の路線の違いが政権内で目立っている。
 ワシントン・ポスト紙によると、トランプ氏を会談中止に大きく傾かせたのは、23日夜のボルトン氏との電話だった。
北朝鮮がペンス副大統領を「政治的なまぬけ」と批判したことについて、
ボルトン氏は「とても悪い兆候だ」と大統領に告げ、会談の再考を促した。

 ボルトン氏は3月に政権入りする前、北朝鮮の核開発阻止のためには先制攻撃も正当化されると説いた最強硬派。
制裁緩和前に核を放棄させる「リビア方式」に4月末に言及して北朝鮮の怒りを買ったのもボルトン氏だ。
 リビアの最高指導者カダフィ氏は2003年に核放棄に応じ、8年後に米国などが支援する反体制派に殺害された。
あえて北朝鮮が敏感に反応するキーワードを使ったボルトン氏の狙いは、
もともと懐疑的だった米朝首脳会談を「意図的につぶすため」だったという見方も米メディアにある。
 これに対し、2度の訪朝で金正恩朝鮮労働党委員長との窓口になったポンペオ氏は、交渉を前に進めようと懸命だ。
NBCテレビによると、ポンペオ氏は会談中止を知り、ボルトン氏による「交渉の妨害」に不満を漏らしたという。
中止が発表された24日のうちに韓国の康京和外相への電話で
「北朝鮮との交渉を継続する明確な意志」(韓国側発表)を伝えた。

 トランプ氏は25日、首脳会談の中止決定から一転、予定通り6月12日に開催される可能性に触れ、
「建設的な話し合いを進めている」と明かした。今月中旬には「リビア方式」に反発した北朝鮮に対し、
非核化後の「体制の保証」に言及するなど、融和的な姿勢も見せる。
局面ごとにボルトン、ポンペオ両氏の役割を使い分けている様子だ。
(2018/05/26-16:01)

画像:ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)
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時事ドットコム
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