「徴用工像」強制撤去 韓国政府、慰安婦像とは異なる対応 文政権の狙いとは
6/1(金) 11:15配信
西日本新聞

警察と市民団体が屋外でもみ合いになる中、国立日帝強制動員歴史館内に設置された徴用工像=31日午後5時ごろ

 韓国・釜山市東区は31日、同区の日本総領事館そばの歩道に置かれていた、日本統治時代に徴用された労働者を象徴する「徴用工像」を強制撤去した。像は地元の市民団体が4月30日に持ち込んだ。同市の国立日帝強制動員歴史館に像は運び込まれたが、団体側は反発しており、対立の長期化も予想される。

 歩道には警官約1500人が投入され、団体メンバー約100人と激しいもみ合いになるなど騒然とした。「像に触るな」「警察が泥棒に加担するならどこに通報すればいいのか」といった罵声や悲鳴が飛び交う中、区職員が10分ほどかけて像をトラックに載せ撤去。像は、韓国政府が設置を勧めてきた同歴史館へ運ばれたが、ここでも区職員や警官と団体側が衝突し、最終的に撤去開始から3時間後、館内のロビーに据えられた。
「外交儀礼と歩行者の安全のために撤去する」

 東区はこれまでに2度、期限を設けて自主撤去を促してきたが、団体側は拒否し、総領事館前にある慰安婦問題を象徴する少女像の横に「必ず置く」と主張してきた。この日午前には、韓国政府の代表団が釜山を訪れ、団体と3時間に及ぶ協議を行ったが交渉は決裂。韓国政府の担当者は「設置したい心情は理解できるが、外交儀礼と歩行者の安全のために撤去する」と説明した。

 韓国政府の担当者によると、当面は像を同歴史館で預かるが、団体が像の所有権を主張した場合は返還する。その場合、強制撤去にかかった費用の負担が団体に求められるという。返還後に団体が再び総領事館前に置こうとした場合は「阻止する」と話している。

韓国政府、慰安婦像と異なる対応

 韓国・釜山市の日本総領事館そばに置かれていた「徴用工像」は、1カ月で撤去された。総領事館前には2016年末に慰安婦問題を象徴する少女像が設置され、今もそのままになっている。少女像への対応とは異なり、韓国政府は今回、徴用工像の設置を阻止した。そこには朝鮮半島の南北融和実現のため、日本との関係悪化を避けたいという文在寅(ムンジェイン)政権の狙いが透けて見える。

 徴用工像の強制撤去に踏み切った韓国政府の担当者は、31日の記者会見で「今後も総領事館前には設置はさせない」と断言した。

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