銭治亜氏は、米コーヒーチェーン大手スターバックス(スタバ) の最大の悪夢となるのかもしれない。

42歳のこの起業家は、自分が最高経営責任者(CEO)を務める新興コーヒーチェーン
「ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)」が、いずれ中国国内でスタバより多くの店舗を持つようになると宣言。その目標達成に向け、シンガポール政府投資公社(GIC)などの投資家から融資を取り付けた。

ラッキンは1月に正式に開業したばかりだが、すでに中国13都市に660店舗以上を構えている。安価な配達料金と、オンライン注文、大幅な割引や従業員への奨励金が、強気な成長計画を支えている。

中国に米国に次ぐ規模の3400店舗を構え、2022年までにそれを倍近くに増やす計画を掲げるスタバは、重要な時期にラッキンの攻勢を受けることになる。

またその攻勢の速さは、市場をひっくり返そうとするスタートアップに脅かされかねないという、中国国内に定着した他の消費者ブランドに対する警告にもなっていると、ブランドコンサルタントは言う。

スタバの株価は6月、前四半期の中国既存店売上高の伸びがゼロかそれ以下になったと同社が公表したことを受けて急落した。前年は、7%の増加だった。

スタバは、一部地域で近隣に新しくできたカフェに顧客の一部が流れたことや、配達会社を通じた注文の大幅減があったとしている。

スタバ側は競争の激化には言及しなかったが、投資家やアナリストは、ラッキンが脅威となっているのは明白だと話す。

その一方で、スタバはこれまでも世界各地でライバルの挑戦を受けてきたが、店舗の雰囲気やサービス、安定したコーヒーの品質を武器に、非常にたくましい回復力を見せてきているとも彼らは指摘する。

また、トランプ米政権が中国からの輸入製品に懲罰関税を課したことに抗議して、中国消費者が米国ブランドを避け始めたという兆候もない。

■大幅な割引

ロイター記者は、スタバやラッキン、コスタ・コーヒーなどの店舗が入る商業施設、北京銀泰センターで、消費者30人に話を聞いた。その半数が、ラッキンでコーヒーを買ったことがあるとし、大半が良かったと答えた。ただ3分の2以上が、今でもスタバを第1に選ぶと話した。

取材に応じた人の大半が、コーヒーは店内または持ち帰り用に購入したと話し、配達してもらったと答えた人はわずかだった。配達に重点を置いたラッキンの戦略は、今後問題に直面するかもしれない。
また、店を選ぶ際に重視するのは味と利便性、そして店の環境との回答が多く、価格重視との回答を上回った。

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