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▲平和への思いを語る村山富市元首相=大分市の自宅で(布藤哲矢撮影)

 平成最後となる終戦の日に合わせ、本紙は日本が「植民地支配と侵略」をしたと断定し、反省を示す談話を一九九五年に発表した当時の首相、村山富市さん(94)にインタビューした。村山さんは「日本が平和と民主主義を大事にすることを明示した。(戦後五十年の)節目にああしたことができたのは、良かったと思う」と談話の意義をあらためて強調し「歴史を学び、二度と戦争をしない気持ちを持つことが大事だ」と訴えた。

 村山さんは太平洋戦争中の一九四四(昭和十九)年、学徒出陣で陸軍に入隊し、九州の部隊で終戦を迎えた。十分な武器や食料も持たされないまま、米軍との戦闘を強いられた自身の体験も交えつつ「戦争は狂った人間がすること。国全体が狂う」と述懐した。

 九五年八月十五日に、戦争で被害を与えたアジア諸国へのおわびや反省の意思を盛り込んだ「村山談話」を発表した背景を「アジア諸国から、日本が同じ過ちを繰り返すのではないかという危惧の目があった」と説明。「アジアの一員として、進む方向を明示する必要があった。日本の人たちにアジアに目を向けてほしいという期待も強くあった」と当時の心境を明かした。

 村山談話の内容は、二〇〇五年の小泉純一郎元首相による戦後六十年談話や一五年の安倍晋三首相による戦後七十年談話でも引き継がれてきた。一方で安倍政権は憲法九条の解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認するなどし、自衛隊の武力行使を伴う任務の拡大が懸念されている。村山さんは「他国に引きずられて日本が戦争に加担することはあり得る。絶対にしちゃいかん」とくぎを刺した。

 今年六月、初の米朝首脳会談が実現しながら非核化が見通せない北朝鮮情勢については「実力で阻止するようなことをすれば戦争になる。すべて話し合い、外交で解決することが大事だ」とした上で、「平和憲法で戦争を放棄した日本が、世界に向かって戦争は絶対に反対だと訴え、平和に貢献していくことが必要だ」と強調した。

 (聞き手・中尾吟)

ソース:中日新聞<歴史に学び平和貢献を 村山元首相インタビュー>
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