【8月19日 東方新報】
中国教育部はこのほど、中国の子どもたちの近視を抑制するため、国家衛生健康委員会と共同で「青少年近視抑制実施方案(意見書)」を発表し、社会のそれぞれの分野から広く意見を求める。

「義務教育質量監督測報告」によると、中国の青少年の視力問題は特に突出している指摘している。小学4年生と中学2年生の近視者の割合はそれぞれ、36.5%、65.3%だ。

 また世界保健機関(WHO)の最新の研究報告によると、現在の中国の近視者数は6億人以上で、うち中高生、大学生の平均近視率が7割以上あることがわかり、青少年の近視率は世界ワーストだとしている。海外と比較しても、米国児童の平均近視率は25%、オーストラリアでは1.3%と低く、ドイツでは常に15%以下を保っている。

 意見書によると、2023年までに中国全土の青少年全体の近視率を毎年0.5%以上、近視率の高い地域については1%以上抑えていくことや、30年までに6歳児童の近視率を約3%にとどめるほか、小学生の近視率を38%以下、中学生を60%以下、高校生を70%以下までそれぞれ抑制することを目標としている。

■スマホ持ち込み禁止、フランスなどでは近く実施

 スクリーン画面を見続ける行為によって視力に影響を与え、携帯ゲームに熱中し勉強しなくなるなど、青少年に大きな影響を与える携帯電話。

 フランスの国民議会は7月30日、幼稚園、小学校、中学校の学内で携帯電話やタブレット、腕時計などの通信機能設備の使用を禁止した法案が可決され、今年9月の始業から実施される。

 また米、ドイツ、英国などでもすでに同様の法案が可決しており、今後はスマホの学内や教室への持ち込みが禁止されるほか、教師や保護者の許可のもとで使用が許されるなどの措置が進められていく。

 学校に携帯電話への持込を禁止するか否か、中国国内では10年以上論争が続いている。

「禁止せず細かい規則を作ればよい」との主張や、「全面的に禁止」とする意見のほか、「禁止か否かをはっきり線引きする必要はない」「禁止してもしなくても影響はない」などさまざまな意見に分かれている。

 南京師範大学(Nanjing Normal University)児童発展・家庭教育研究中心の殷飛(Yin Fei)副主任は、「全面的な禁止もできないし、全面的な放置もできない」と指摘。

「家庭や学校が、義務と責任をもって子どもたちに正しい携帯電話の使い方を教えることで、子どもたちは自己抑制能力を身に付けていく。携帯電話が、子どもの成長過程でさらに積極的な作用を発揮させるものにしなくてはならない」と話す。(c)東方新報/AFPBB News

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