文在寅(ムン・ジェイン)政権の挙動が怪しくなるばかりだ。
大国の横暴には「民族の核」で
前回は、韓国は「北朝鮮の核の傘」に入るつもりだ、とのくだりで終わりました。
鈴置:それを明確に書いた韓国人がいます。朝鮮日報の池海範(チ・ヘボム)記者です。同社の東北アジア研究所所長でもあります。記事「『北朝鮮の核は民族の資産』という幻想」(8月8日、韓国語版)の書き出しを訳します。
最近、ある小さな集まりで左派陣営の人がこう語った。「統一後を考えれば北朝鮮の完全な非核化よりは一部の核を残した方がずっとよい。我が民族が強大国の横暴を牽制するのには、核を持つことが格段に有利だ」。
彼は「南の経済力と北の核を合わせば世の中に怖いものはない。我々の世代がこの偉業を成し遂げようではないか」とも語った。
南北が平和共存に向け協力する時代に入ることで、北の核は南北共同、すなわち民族の資産になるとの論理だ。だから北朝鮮の非核化にこだわり過ぎず、大きな枠組みで交流・協力を強化せねばならぬということだ。彼の言葉に対し、同席した何人かが首を縦に振った。

文在寅政権も夢見る
ついに韓国人が本音を語り始めましたね。
鈴置:池海範記者も韓国人が北の核で自らを守りたいと考えるのは、ある意味で当たり前と書いています。記事はこう続きます。
「南の経済力と北の核を結合する」との発想はかなり魅力的である。一部の知識層にこれを期待する雰囲気もあるようだ。外国からの侵略と亡国の歴史を持つ韓国人が、強く豊かな統一国家を夢見るのは極めて当然のことだ。
 さらに池海範記者は、文在寅政権もそう考えているであろうと指摘し、批判しました。
しかし万が一にも青瓦台(大統領府)のいわゆる「自主派」補佐陣までこんな夢を見ているとすれば、非常に危険なことである。
「北の核は民族の核」との論理を作り、宣伝してきた主役は平壌(ピョンャン)政権だ。1月25日、北朝鮮の統一戦線部が発表した「国内外の全ての朝鮮民族に送るアピール」はこう主張した。
「我が民族が握った核の宝剣は米国の核戦争の挑発策動を制圧し、全ての朝鮮民族の運命と千万年の未来を固く担保してくれる。民族の核、正義の核の宝剣を北南関係の障害物と罵倒するあらゆる詭弁とたくらみを断固として粉砕しよう」。

※続きは元記事でご覧ください。

ソース
日経ビジネスオンライン 2018年9月4日(火)
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/090300191/