『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』 
工藤美代子著 (産経新聞出版・1890円)

「ぼくが今年読んだノンフィクションのベスト1だ」 
評・花田紀凱(『WiLL』編集長)

▲関東大震災の時に流言蜚語(ひご)に惑わされた日本人自警団が何の罪
もない多数の朝鮮人を虐殺した−。 多くの日本人はこの事件にある種の
後ろめたさを感じ、きちんと検証してみようとしなかった。

…大震災から86年、工藤さんが初めてこの困難な作業に挑んだ。

まず、当時の日韓関係の中で朝鮮人のテロ、日本人襲撃が決して根拠のな
い流言蜚語ではなかったことを多くの資料・新聞記事から立証。

▲工藤さんは〈朝鮮人による襲撃があったから、殺傷事件が起きた〉
〈テロリストの襲撃から家族や町内を守るのは正義といっていい〉 と断定し
ている。 …当初は朝鮮人による襲撃事件を報じていた新聞がなぜ途中か
ら事実を隠蔽(いんぺい)するようになったのか。 それが、この本の大きな
テーマに繋(つな)がっていく。まるで良質のミステリーを読むような面白さだ。

▲圧巻は虐殺された朝鮮人の数を検証する部分。当時、吉野作造は2613人
と書き、上海に亡命した大韓民国臨時政府の機関紙「独立新聞」は6419人
と書いた。 …今回の取材中、工藤さんはロンドンのナショナル・アーカイブ
スで朝鮮独立運動派が諸外国の外交官にばら撒(ま)
いた謀略宣伝用小冊子を発見した。 そこに書かれた数字はなんと2万305
9人。

▲それでは当時東京に何人の朝鮮人がいたのか。政府統計によると東京に
約9千人。近県に約3千人なのである(全国で約8万人)。 …そして、警察
署などに保護された朝鮮人は6797人。

▲この数字だけからでも虐殺されたとされる朝鮮人の数がいかに根拠のな
いものかわかろう。 先に挙げた謀略宣伝用小冊子は虐殺の模様をこんな
ふうに書いている。〈彼ら(日本人自警団 や民衆)は朝鮮人を電柱に縛り
つけ、眼球をくり貫(ママ)いて鼻をそぎ、腹を切り裂いて腸が飛び出るま
まにした(以下略)〉…どこかで読んだような記述ではないか。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h22/jog665.html

<参考>
関東大震災 : なぜ、金田は朝鮮人が放火したと考えているか
http://blog.livedoor.jp/kanedashoji70/search?q=%E9%96%A2%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD