>>1のつづき

なぜ、こんなことになってしまったのか。

■ 五輪のために…「生態系の宝庫」破壊で競技場建設
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韓国メディアによると、この場所はもともと山林保護区域。樹齢500年を超える樹木や貴重な植物がある原生林で、「生態系の宝庫」とまで呼ばれていた。競技場はその原生林を伐採して一から造られた。当初の計画では五輪終了後、原状回復させて元の豊かな自然に戻すはずだった。

しかし平昌五輪終了後の3月、韓国の文化体育観光省の長官の一言が事態を急変させる。
「政府が予算を出してでも、本来の目的(スポーツ施設)に合う方向で活用案を模索する」

■ 合意形成できず半年間も放置…「大きな厄介者」
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これを受けて、地元自治体(江原道)は「2012年冬季アジア大会」の南北共同誘致に乗り出すことを表明。原状回復は「大会終了後」との要望を出した。

これに対して地元の環境団体は「貴重な自然をいち早く全て復元するべきだ」と批判。

一方、地元の住民たちが求めたのは「競技場の保存」。「地域経済を発展させる唯一の希望」などと声をあげ、ソウルの大統領府前で抗議集会を開いた。

結局、韓国政府内でも意見が割れ、管轄する韓国山林庁は「来年春から原状回復作業を始める」との計画を出したが、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、合意形成は今もなされていない(18年8月時点)

貴重な自然環境を壊してまで造られた競技場。それが半年間放置され、今では韓国メディアに「大きな厄介者」と揶揄される始末だ。

■ 東京五輪は「環境への配慮」にも注目
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東京五輪はどうだろうか。2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が公表した運営計画を見てみると、「より良い未来へ、ともに進もう」をコンセプトに「持続可能性」に配慮した形となっている。

5つの主要テーマの中の一つ「大気・水・緑・生物多様性等」には、主な取り組みとして「既存樹木への配慮や在来種による競技会場の緑化により、海上公園等周辺の緑との調和も図りながら生態系ネットワークを創出」などとある。

確かに、韓国の地方都市と大都市・東京を純粋に比べることはできないだろう。ただ、競技を楽しむだけでなくその前提として、「環境への配慮」が十分になされているか注目する必要がありそうだ。記念すべき東京五輪の後味を悪くすることだけは、避けなければいけない。

おしまい☆