(前略)
 マスゲームは国が個人の体を使って訓練する官製芸術行為だ。これを見て奇妙な印象を受けるのが「自由市民」の平均的な情緒だ。2000年にオルブライト米国務長官=当時=は北朝鮮でマスゲーム「百戦百勝朝鮮労働党」を鑑賞して世論の批判を受けた。09年には北朝鮮に拘束されていた米国人女性記者らを救うため訪朝したクリントン元大統領が「アリラン祭」の鑑賞を提案されたが、断った。

 「将軍様にお仕えし、行事を行うその日を思い描き、痛みにも耐えて訓練します」。北朝鮮のマスゲームに参加する少女と家族の生活を撮影した英BBCのドキュメンタリー番組『ステート・オブ・マインド』(ある国)で、北朝鮮の少女パク・キョンソンさんが言った言葉だ。

 02年のアリラン祭の練習には「2億時間」かかった。幼稚園児から大人まで10万人がコンピューターの「ピクセル」のように思い通りの絵を描く北朝鮮のマスゲームには想像を絶する労働力を必要とする。

 国連北朝鮮人権委員会は、これを「児童労働」の1つと見なした。子どもを動員したマスゲームで政権が外貨を稼いでいるからだ。個人の身体と精神を訓練し、「首領様にお見せするという期待から心と体がブルブル震える」ようにさせる国は北朝鮮だけだ。

 訪朝した文在寅(ムン・ジェイン)大統領が19日夜、北朝鮮の最新版マスゲーム「輝く祖国」を鑑賞した後、15万人を前にした演説で「この感激を言葉で表現することはできません」 「金正恩(キム・ジョンウン朝鮮労働党)委員長と北の同胞たちがどのような国を作っていこうとしているのか、胸を熱くして見ていました」と述べた。驚くべきことに、文大統領は北朝鮮住民の涙・汗・痛み・恐怖には全く関心がないように見えた。

 18日に平壌に到着した時、平壌市内を車に乗ってパレードした時、20日に白頭山に登った時も、事実、大統領はそうだった。文大統領が動くたびに歓迎する人々が数万人現れた。文大統領は満面の笑みを浮かべた。笑顔が絶えなかった。よく似た服を着て同じ花を持ち、足を踏み鳴らして動く「タイミング」までまったく同じ彼らが、文大統領の目には「自発的な市民たち」に見えたのだろうか。

 「会長招待VIP訪問行事案内。午前6時、現場待機。女性はワンピースに化粧必須。歓迎の花持参。VIPが到着したら笑顔、足を踏み鳴らして歓声を上げること。行事予想時間:3時間」。韓国のある企業がこのような通知をしたと仮定してみよう。その企業の会長は「パワハラ」とたたかれ、未明に3回家宅捜索を受け、会長一族は3世代にわたり世論と司法の裁きを受けるだろう。

 きちんと整列して「国民体操」をし、上級学校進学のために「体力章」(体力向上を狙いとする体力測定)を行った時代があったが、「産業化のための身体改造作業」「肉体に対する国の統制」「変形したファシズム」「日本による植民地支配時代の遺産」などの批判を受けて、なくなった。

 韓国の国民体操のたぐいは嫌いだという人なら、北朝鮮のマスゲームに身震いするのが普通だ。仕方なく鑑賞することになったというなら、その場をすぐに離れるべきだった。「客として行ったのに、祝いの膳(ぜん)をひっくり返すわけにはいかない」と言うなら、表情くらいは何とかすべきだった。

 文大統領は北朝鮮の封建的で全体主義的な「身体恐喝システム」に王冠をかぶせてやったことになる。「まず人ありき」という言葉を口にするのは南側でだけのようだ。

朴垠柱(パク・ウンジュ)デジタル編集局社会部長

ソース:朝鮮日報/朝鮮日報日本語版【コラム】北のマスゲームに「感激」した文在寅大統領の不見識
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/09/22/2018092200644.html

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