そしてもう一人。文在寅(ムン・ジェイン)大統領。2018年の世界秩序を平和側にけん引するために最も際立った行動をしている人物だ。“隠遁王国”北朝鮮を世界舞台に引き出し、あらゆる気まぐれを起こすトランプ大統領を説得して米朝首脳会談を成功させた。地球村を災難に陥れる核戦争の可能性を低くし、至上目標である北朝鮮核廃棄に向かって狭い道を開拓中だ。韓半島(朝鮮半島)の平和は世界平和に向かう関門だ。故金大中(キム・デジュン)大統領の足跡が韓半島を横切ったとしたら、文在寅大統領は国際秩序の再編まで歩幅を広げた。今後のは米国・中国・ロシア・日本の危険千万な力学を平和ムードに変える道案内になることを期待するなら、ノーベル平和賞を受賞しない方がむしろおかしい。

しかし、そこには但し書きがつかなくてはならない。トランプと金正恩(キム・ジョンウン)を除く「自分だけの受賞」は今後の進路に足かせとなることは明らかだ。主演でなければトランプは拗ねるだろうし、妥協当事者である金正恩は自尊心を傷つけられるおそれがある。「3者共同受賞」が最も良いシナリオであるが、まだ具体的な成果が出ておらず、スウェーデン・アカデミーは迷うかもしれない。躊躇するな。就任12日目の米国大統領オバマにも授けた事例があるではないか。「今後傾ける努力を応援する趣旨」が2009年ノーベル委員会の説明だったから、3者共同受賞もハナから断念する理由はない。「うまくやりなさい!」という激励メッセージ、そして世界国家の平和念願が韓半島にあふれる可能性は充分だ。ノーベル賞を歌う秋の歌、あと数日が残った。

ソン・ホグン/中央日報コラムニスト・浦項工科大学人文社会学部長