韓国と北朝鮮は1日午前0時、南北軍事境界線近くでの敵対行為を全面的に停止した。9月の南北首脳会談の際に署名された軍事分野合意書に基づく措置。飛行禁止区域を設定し、陸上や海上での軍事演習を中止した。韓国国防省は、国連軍と同軍の委任を受けた在韓米軍の支持を得ているとした。

 飛行が原則禁止された区域は、軍事境界線から南北に計20〜80キロの空域。同計10キロの地域での砲射撃訓練や連隊規模以上の野外機動訓練も禁止された。日本海と黄海の一部海域でも射撃訓練が禁じられ、海上に向けた砲台を封印した。

 このほか、非武装地帯内に設置した哨戒所のうち、南北各11カ所の要員を今月中に撤収させる。板門店の共同警備区域(JSA)でも今月、夜間を除いて兵士や観光客の自由往来が始まる見通しだ。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は一連の措置によって、南北間の軍事衝突の危険を完全に取り除いたと主張している。韓国の軍事専門家の間では、北朝鮮軍の攻撃を防ぐ能力の低下を懸念する声が出ている。(ソウル=牧野愛博)

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朝日新聞デジタル 2018年11月1日10時36分