日本の110社以上の企業が参加して釜山で行われた就職博覧会に、韓国の若者たちが殺到した。700人余りの採用に6200人が志望し、書類審査に合格した2500人のうち1000人以上が面接を受けた。残りの1500人は7日にソウルで開催される就職博覧会の際に面接を受ける予定だ。

これまで韓国からは例年100人ほどが日本で就職してきたが、今年は採用予定人数が7倍以上にまで増えた。この就職博覧会には日産やANAといった日本を代表する大手企業も参加しているが、それだけ日本では求人難が深刻ということが分かる。

今回の博覧会は雇用労働部(省に相当)が主催して行われた。「雇用政府」を自負する今の政権は国内では雇用を確保できず、他国の企業に韓国の若者の採用を呼び掛けているわけだが、これは見ていて非常に歯がゆいものだ。

現在、韓国の若年失業率はアジア通貨危機以後では最悪を記録しており、仕事を求める人1人当たりの求人件数は0.6にまで落ち込んでいるが、逆に日本では1.64にまで上昇している。これは44年ぶりの高い数値だという。

日本は1人の求職者を1.64社の企業が取り合いをしているが、韓国では逆に一つの仕事を巡って1.68人の求職者が競争を繰り広げているわけだ。「雇用政府」は今や海外への就職窓口あるいはあっせん機関に変わってしまった。

わずか数年前までこの状況は逆だった。韓国は世界的に見ても失業率が非常に低く、これに対して日本は「失われた20年」とそれに伴う雇用難に苦しんでいた。

しかしその後日本は2000年代から規制緩和や競争力強化に向けた政策を進め、長期の景気低迷から脱したが、一方の韓国では歴代の政府も政界も経済分野ではポピュリズム的な政策を繰り返した。

構造改革や体質改善が行われず衰退を続けてきた韓国経済が、現政権発足後は「所得主導成長」という自殺行為によって雇用そのものも激減してしまった。この政策の違いが今の両国における雇用情勢の逆転につながったのだ。

若い人材は国にとっても大切な資産だ。若者が海外に進出することも必要だが、それは国内での就職市場が安定してからの話だ。これまで教育を与え育ててきた若者を韓国で生かすことができず、日本企業に渡すという状況がわれわれの目の前で進んでいる。

労働改革や規制緩和といった必要な対策から顔を背け、政治ポピュリズムが今後も続けば、東南アジアや南米で起こっているような雇用の大脱出も起こりかねないだろう。

韓国政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は「今年の10−12月期は就業者数の増加幅がゼロになる可能性が高い」との見通しを示している。あまりにも深刻な事態だ。


2018/11/07 11:02
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