山口県の下関港と韓国の釜山港を結ぶ関釜フェリーの4代目日本籍船「はまゆう」(7747トン)が1998年の就航から20年を迎えた。先代より一回り大きくなった船体で、日韓両国の「懸け橋」としての役割を受け継いできた。

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▲ 関釜フェリーの4代目日本籍船「はまゆう」=共同

98年には未来志向の関係を目指すとした日韓共同宣言が発表された。下関市に住む在日本大韓民国民団(民団)山口県地方本部事務局長、徐鶴奎さん(71)は「下関では宣言後、日本人向けの韓国語講座数が2倍、3倍に増えた。交流が盛んになり、韓国人旅行客のリピーターが多い」と話す。

はまゆうは、共同運航する釜関フェリーの韓国籍船「星希」と毎晩交互に下関と釜山を出港する。最安の2等室は片道9千円。沖で数時間停泊した後、朝8時ごろに両港に到着するため、宿代わりとなることも人気の理由だ。3代目と比べて貨物スペースが広く、特等室などが新設されて客室の選択肢が多くなった。20年前、乗客の3割は日本人だったが、現在は9割弱が韓国人。個人旅行者が増えているという。

乗客数は2010年度が過去最多の23万6千人で、東日本大震災直後の11年度に15万人まで減少。昨年度は19万9千人と盛り返した。博多港と釜山港を往復するJR九州高速船の「ビートル」は片道1万4千円で、航行時間は約3時間。乗客の半分以上は日本人で、旅の目的によって関釜フェリーとの使い分けをする人も多いという。

9月上旬。釜山を出港した船内に韓国語が飛び交い、乗客自前のキムチのにおいが漂った。釜山大橋をくぐる際には大勢が甲板でカメラを向けた。初めて乗ったという韓国人男性(28)は「食堂やホールでゆっくり時間を過ごせるのがいい。旅は始まったばかり」と胸を膨らませた。

韓国人旅行客は下関港到着後、唐戸市場ですしを食べ、門司港を訪問するのが定番という。徐さんは「お互いの国に行き、食べて飲んで話して、もっと理解を深められれば」とほほえんだ。

ソース:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37460830X01C18A1000000/?n_cid=TPRN0003