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続き。

米国にとって半導体は高度な戦略的問題だ。半導体という武器をライバル国に渡すことは容認できない。中国、日本を踏みつけるのもそのせいだ。幸い韓国は大国ではない。米国と安全保障上の利益を共有する同盟国でもある。米国は韓国の半導体が戦略的利益を損ねないと考えている。だからこそ韓国がDRAM市場の70%を掌握しても容認する。言い換えれば、同盟にひびが入れば、半導体も無事ではいられない。万一韓国が米国式の安全保障秩序から脱する兆しでも見せれば、米国は黙っていないはずだ。韓国の半導体産業は同盟の基盤の上に成り立っている。その地政学的な運命を決して忘れてはならない。

 韓国の半導体は苦境に直面するたびに運が良かった。出発点からして奇跡だった。1980年代初め、サムスンの創業者、イ・ビョンチョルは何もない環境下でどうして半導体事業への参入を決断したのか。ドイツ、英国、フランスもなし得なかった半導体をやろうとあえて考えたのはなぜか。今考えても不思議だ。イ・ビョンチョルという傑出した企業経営者がいたことが韓国には天運だった。国運が良かったと言うほかない。

 そして、3度目の天運が訪れた。米国のけん制で半導体をはじめとする中国の先端産業の崛起はスローダウンするだろう。中国に追い上げられてきた韓国にとってはまさに値千金の時間を稼いだ。競争力の格差を広げ、将来の収益源を見つける最後のゴールデンタイムかもしれない。

 いくら天運が訪れても、それをチャンスに変えるのは結局人間の役割だ。この重大なタイミングで大韓民国は何をして過ごしているのか。誰が中国に負けないための戦略を考えているだろうか。

朴正薫(パク・チョンフン)論説室長

以上。