【シンガポール=原川貴郎】シンガポールを訪問中の安倍晋三首相は15日(日本時間同)、米国、ロシア、中国などが参加する東アジアサミット(EAS)などの国際会議に相次いで出席し、国際基準に基づくインフラ整備や南シナ海の非軍事化の必要性を強く訴えた。名指しは避けつつ、南シナ海などで影響力を拡大する中国に国際ルールに沿った行動を取るよう求めた。

 首相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)に日中韓を加えたASEANプラス3の首脳会議で「国際基準を満たさないインフラ投資は地域の持続可能な繁栄の足かせになりかねない」と強調した。支援の不透明さなどが指摘されている中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を牽制(けんせい)したとみられる。

EASでも「南シナ海の紛争は力ではなく国際法に基づいて平和的に解決されるべきだ」と述べた。その上で、中国の南シナ海の軍事拠点化を念頭に「現場で非軍事化にそむく動きが続いていることを深刻に懸念する」と表明。「一方的に現状を変更する行為は南シナ海を公共財として活用している諸国の利益を脅かしかねない」と主張した。

 首相は国際会議の合間などに韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と2回接触した。同行筋によると、それぞれ「すれ違って握手をする程度」「あいさつ程度の立ち話」で、握手は文氏が求めてきたという。元徴用工をめぐる韓国最高裁判決に関するやりとりはなかったとみられる。

https://www.sankei.com/politics/news/181115/plt1811150039-n1.html
産経 2018.11.15 20:12