>>1のつづき

・売れるキーワードは「人権」「#MeToo」
マリーモンドの成長を後押しするのは、「エシカル消費」の盛り上がりだ。

(エシカル消費:倫理的消費。貧困、人権、気候変動などさまざまな課題解決を目指し、人や社会、地球環境に配慮したものやサービスを選んで消費すること)

現在の韓国では(1)人権、尊厳(2)MeToo、withyouなど性暴力被害者への共感が消費を左右する大きなキーワードになっているという。

マリーモンドも商品を通じて人の尊厳を伝えることを目指しており、同社のサイトには花のモチーフになった元慰安婦の女性たちがどのような人生を歩んだのか、克明に記されている。

日本のサイトでも同様にこうした商品の背景を伝えていく予定だが、本国とは少し変化もつける。

「日本では人権をうたうと毛嫌いされる可能性もあるので、『エンパワーメント』をキーワードにします。日本社会はあまりにも女性がエンパワーメントされてないし、声を上げた性暴力被害者がバッシングにあっておとしめられているのを日常的に感じている人も多いと思うので。

それに男性にも考えて欲しいんです。『慰安婦』の問題は、国から『男の性なんてこんなもの』と烙印を押されているようなものですよね。それでいいの?と。日韓という国家間ではなく、男女問わず『個人の痛み』の物語だと受け止めて、それを花によって祝福し尊厳を回復する。そんなブランドメッセージを伝えていけたらいいですね」(北原さん)

今後は本国のようにカフェを開き、消費者同士がつながれる場所を作りたいと考えているそうだ。

日本在住の元慰安婦で唯一、裁判を起こした宋神道(ソン・シンド)さんが2017年12月に亡くなってからもうすぐ1年。マリーモンドジャパンでは宋さんをイメージした商品も販売される。日本社会は、彼女の声に耳を傾けられるだろうか。