太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、過酷な労働を強いられたとして韓国人女性やその遺族が三菱重工業に損害賠償を求めている裁判で、韓国の高等裁判所は、1審に続いて賠償を命じる判決を言い渡しました。日本企業に賠償を命じる判決が出されるのはここ1か月余りで5件と相次いでいて、日韓関係への影響が懸念されます。

この裁判は、名古屋にあった軍需工場で「女子勤労てい身隊」として過酷な労働を強いられたとして韓国人女性や遺族合わせて4人が三菱重工に損害賠償を求めているもので、去年8月の1審判決では原告の主張が認められ、三菱重工側が控訴していました。

2審の判決で、韓国南西部のクワンジュ(光州)高等裁判所は5日、控訴を棄却し、三菱重工に対し1人当たり1億ウォンから1億5000万ウォン(日本円でおよそ1000万円から1500万円)の賠償を支払うよう命じました。

「徴用」をめぐる問題では、ことし10月、韓国の最高裁判所が新日鉄住金に賠償を命じる判決を言い渡したのに対し、日本政府は、1965年の日韓国交正常化に伴う請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的に解決済み」という立場で、判決は国際法違反だとして韓国政府に是正を求めています。

韓国政府は、イ・ナギョン(李洛淵)首相が民間の専門家などとともに対応策をと取りまとめることにしていますが、具体的な内容がまとまらない中、ここ1か月余りで日本企業に賠償を命じる判決が5件と相次いでいて、日韓関係への影響が懸念されます。

三菱重工 上告の方針

韓国の高等裁判所の5日の判決を受けて、三菱重工業は上告する方針です。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181205/k10011735611000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
NHK 2018年12月5日 15時59分