【モスクワ=工藤武人、北京=中川孝之】タス通信は軍事外交筋の話として、中国軍が今月上旬、ロシア製の最新型防空ミサイルシステム「S400」の試射を実施し成功したと報じた。中国紙・環球時報も25日、露メディアを引用しながら中国国内の発射場で試射が行われたと伝えた。

 タス通信によると、試射では、約250キロ・メートル離れた地点から毎秒約3キロで飛行する弾道ミサイルを撃ち落としたという。環球時報はロシアの専門家の話として、S400が将来の台湾海峡での武力衝突発生時に「重要な役割を果たす」と伝えた。

 S400は、巡航ミサイルなど同時に36の標的を狙うことが可能とされる。最大射程約400キロ・メートルだが、今回の試射では、射程が短いタイプとされる「48N6E」が使われた。

 中国本土から400キロ・メートル圏には台湾や、沖縄県・尖閣諸島周辺が含まれる。環球時報は露メディアを引用し、射程約400キロ・メートルの「40N6」は露軍が配備を終えたばかりで、中国軍が露側から調達したかは不明と報じている。

 中国のS400調達に絡み、トランプ米政権は今年9月、対ロシア制裁強化法に基づき、調達を担当した中国軍の「装備発展部」とそのトップに経済制裁を発動し、中国が猛反発した。

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読売 2018年12月25日 20時46分