在日米軍トップのマルティネス司令官は9日、退任を前に東京都内で会見し、中国による南シナ海の軍事拠点化や北朝鮮による弾道ミサイル開発などを念頭に「在日米軍の即応力の重要性はかつてないほど高まっている」と述べた。米軍横田基地の空域が絡む羽田空港国際線の新ルート構想を巡り、日米両政府の協議が最終段階にあるとも明らかにした。

中国について「技術革新を進め、兵器に投じる予算を大きく増額している」と指摘。「南シナ海や尖閣諸島周辺での行動はより攻撃的になっている」とも述べ、軍事的な脅威が増していることに懸念を示した。

そのため「在日米軍は抑止力をいつでも発揮できる必要があり、即応力はすべての土台だ」と強調。米軍の訓練や事故が地元住民の負担になっていることへの理解を示しつつ、今後も訓練などを通じて能力を高めていく考えを述べた。

羽田空港国際線の新ルートを巡る日米協議の妥結が「非常に近い」とも明らかにした。新ルートは米軍横田基地が航空管制権を持つ空域の一部を含むが、日本は2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて羽田の発着枠を増やすため、米側に民間機の通過や日本側が航空管制を担当することを求めていた。

「五輪の成功を全面的に支援する」として、米軍施設の一部提供を日本側に打診しているとも明らかにした。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3983089009012019000000/
日本経済新聞 2019/1/9 21:04

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都内で記者会見する在日米軍のマルティネス司令官(9日)