【ニューヨーク時事】対北朝鮮制裁決議の履行状況を調べる国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが年次報告書で、北朝鮮の核・ミサイル計画は「無傷のままだ」と指摘する見通しであることが30日分かった。北朝鮮が民間施設を弾道ミサイル開発に利用していることも報告する。報告書は3月に公表される予定。
 時事通信が確認した報告書案によると、寧辺の核施設は黒鉛減速炉(5メガワット)を含め依然活動を継続していると分析。加盟国情報として、黒鉛減速炉が昨年9〜10月に稼働を停止し、使用済み核燃料棒が取り出された可能性を指摘した。
 使用済み核燃料棒からプルトニウムを抽出する再処理を行う寧辺の「放射化学研究所」で、昨年4〜5月に煙が出ている状況などが衛星写真で確認されたことについては、「メンテナンス作業の可能性が高い」と説明した。寧辺の核施設は、米国の「相応の措置」を条件に北朝鮮が廃棄の用意を表明している。
 また、北朝鮮の「カンソン」にある施設について、「ウラン濃縮施設」である可能性に言及した。関係筋によると、国連報告書がカンソンの施設に言及するのは初めて。米誌ディプロマットは昨年、カンソンは平壌郊外で、施設が2003年から稼働していた可能性を報じた。
 一方、核・ミサイルの製造施設が無力化された場合に備える戦略の一環として、民間の工場や非軍事施設を繰り返し利用しているとする加盟国からの通報もあった。例えば、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の組み立ては中部・平城のトラック工場で行われていた。この加盟国は昨年11月、北朝鮮が北部の国境付近でICBM基地を建設していることも報告した。
 報告書案はさらに、北朝鮮がミサイルの組立工場や倉庫、試験場を分散させようとしていると分析。日本上空を通過した17年8月と9月の中距離弾道ミサイル「火星12」はいずれも平壌の順安空港から発射されたことも報告した。
 このほか、決議で禁止されている漁業権の移転の事例も確認。中国への移転で、加盟国当局による聴取では、ある漁師は北朝鮮沖で漁船約200隻が活動していると供述した。漁業権は5万元(約81万円)という証言もあった。(2019/01/31-16:22)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019013100998&;g=int
時事ドットコム

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北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」=2018年2月、平壌(EPA時事)

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