韓国と米国が交渉を続けている在韓米軍の駐留経費負担に関する新協定(SMA)について、早ければ今週中にも「年間1兆1200億ウォン(約10億ドル、約1120億円)未満、有効期間1年」で最終合意に至ることが6日、分かった。韓国政府が今年1年、在韓米軍の駐留経費として昨年(9602億ウォン=約960億円)より約1500億ウォン増の1兆ウォン(約1000憶円)台前半の現金と物資を支援し、来年以降の負担額についてはあらためて交渉するという形だ。

 外交筋は同日「2回目の米朝首脳会談を控え、防衛費分担問題で韓米同盟にひびが入ることは避けたいとの認識で韓米が一致した」として「米国は金額、韓国は有効期間についてそれぞれ譲歩し、ひとまず妥協点を見いだした」と話した。米国務省も4日(現地時間)「米国と韓国は新たな在韓米軍の駐留経費負担協定に原則的に合意した」と明らかにした。

■韓米、金額と有効期間で互いに譲歩

 米国CNN放送は「新たなSMAに従い、韓国は負担額を10億ドル規模に拡大することを決めた。これは韓国が過去5年間で負担してきた年間約8億ドルを上回る」と報じた。その上で「有効期間は1年で、さらに1年延長する可能性がある」とした。

 米国はこれまで、韓国政府に対し「10億ドル以上を負担、有効期間は1年」を要求してきた。一方で韓国政府は「年間9999億ウォン(約999億円)、有効期間3−5年」を主張していた。今回の合意内容は、交渉の2大争点に関して、金額では米国が韓国の意見をある程度受け入れ、有効期間では韓国側が譲歩した格好だ。

 有効期間が1年という形で最終的に妥結すれば、韓米当局は来年度分の駐留経費負担交渉を今年上半期にも開始しなければならなくなる。韓東大のパク・ウォンゴン教授は「次の交渉でトランプ政権が再び韓国の負担金の増額を要求する可能性が高いため、1年ごとの交渉は韓国にとっては厳しいものになる」との見方を示した。

 CNNは専門家の話として「『有効期間1年』の条項によって、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との2回目の首脳会談で、在韓米軍問題を持ち出す可能性がある」と報じた。駐留経費負担交渉が合意に達した後も、トランプ大統領は在韓米軍の規模縮小や戦略資産の展開中止などを北朝鮮との交渉カードに使う可能性があるというわけだ。

 トランプ大統領は今月3日、米CBS放送とのインタビューで「在韓米軍の撤収については全く議論していない」と述べた。しかし、韓国に4万人の米軍兵がいると述べた上で、駐留費用が非常に高額であることについて不満をもらした。実際の在韓米軍の規模(約2万8500人)より人数を誇張することで、否定的に考えていることを示したわけだ。

■韓米、高官級のチャンネルを稼働

 韓米の交渉チームは昨年、10回にわたり協議を行いながらも、合意には至らなかった。このため韓米は今回、高官級のチャンネルを稼働させて最終合意にこぎ付けたという。韓国側は大統領府(青瓦台)が昨年末から直接懸案に関わった。

 CNNは「米国の当局者らは昨年、(10億ドル未満で)交渉を妥結し、トランプ大統領に『勝利』と報告しようとしたが、思いがけず文大統領に阻まれた」と報じた。「昨年下半期の会談の際、トランプ大統領は韓国の負担額が不十分だと嘆いたが、これに対し文大統領は『新たな経費負担の合意に近づいたと聞いている』と述べた」というのだ。CNNは「これに対しトランプ大統領は側近らに『交渉チームは韓国の負担を2倍に増額するよう要求すべきだ』と促した」と報じた。しかし韓国大統領府は「CNNの報道内容は、これまでの駐留経費負担交渉の流れとは全く異なる」と否定した。

安俊勇(アン・ジュンヨン)記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/02/06 23:18