国家間の約束や外交ルールも無視の度し難いお国柄。さすが、その韓国の国会議長だけあって発言も噴飯モノなのだ。あろうことか、天皇陛下に慰安婦への直接謝罪を要求したのである。そのせいで、日韓関係は修復不可能なほどに悪化し、もはや手の打ちようもない。

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 決して超えてはならない一線というものが存在する。

 しかし、2月7日に行われた米「ブルームバーグ」のインタビューで、韓国の文喜相(ムンヒサン)国会議長(73)は慰安婦問題について問われると、天皇陛下に対する噴飯モノの発言を行った。

 曰く、

〈一言でいいのだ。日本を代表する首相かあるいは、私としては間もなく退位される天皇が望ましいと思う。その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか。そのような方が一度おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと一言いえば、すっかり解消されるだろう〉

 徴用工問題、火器管制レーダー照射事件と続き、日韓関係は悪化の一途。さらに、文議長のこの発言で、「史上最悪」レベルに冷え込むことになるのは間違いあるまい。

 元通産官僚で徳島文理大学の八幡和郎教授によれば、

「昭和天皇を戦争犯罪の主犯だと決めつけたことは、許し難いものがあります。確かに、国家元首であったために道義的責任は残るにしろ、昭和天皇は東京裁判で訴追されず、戦争責任について法的には決着がついているのです」

 その後、サンフランシスコ講和条約で、東京裁判の判決が日本と連合国との間で承認されている。

「韓国は講和会議に参加できなかったため、サンフランシスコ講和条約に縛られないつもりかもしれない。しかし、1965年に締結した日韓基本条約は、サンフランシスコ講和条約を前提にしたものです。立法府の長がその条約での合意を蔑(ないがし)ろにし、お得意のちゃぶ台返しで昭和天皇を戦犯呼ばわりしているわけです。そのうえ、現憲法下では政治的発言のできない今上天皇に、慰安婦への謝罪を求めるのは違憲行為の教唆であるばかりでなく、立派な内政干渉以外の何ものでもありません」(同)

知日派!?

 日本国民の感情を逆なでする文議長とは、どのような政治家なのか。

 元駐韓大使の武藤正敏氏が解説する。

「文在寅(ムンジェイン)大統領と同じく、革新系の『共に民主党』の議員で、当選回数6回のベテラン。かつては、盧武鉉(ノムヒョン)元大統領の側近中の側近として知られ、政権の要となる大統領秘書室長を務めていました。2004年から4年間は、韓日議員連盟の会長という立場だった。さらに、一昨年の5月には、大統領特使として訪日。そのため、知日派と見る向きもあるのですが、この発言からも日本に精通していないのは明らか。日本の国民が天皇陛下に寄せる気持ちが理解できていないのです」

「冬ソナ」から始まった「韓流ブーム」が一転、「嫌韓ブーム」へと急旋回したのは、12年、当時の李明博(イミョンバク)大統領による「天皇土下座要求発言」が大きなきっかけの一つだった。

 李大統領は、韓国教育大学で開催されたシンポジウムで、〈日王(韓国人が天皇を呼ぶときの蔑称)が「痛惜の念」などというよくわからない単語を持ってくるだけなら、来る必要はない。韓国に来たいのであれば、独立運動家をまわって跪いて謝るべきだ〉と述べたのである。

 その結果、韓国大使館などへの嫌韓デモはいきなりヒートアップ。それまでの10倍以上、年間約300件に膨れ上がった。また、韓国へと赴く日本人観光客は激減し、李大統領の発言までは約351万人を数えていたのに翌年には約274万人に。さらに、東京・新大久保などのコリアタウンは閑古鳥が鳴いて、店舗の閉鎖が相次ぐ始末だった。

 今度の文議長の発言で、「嫌韓ブーム」が再び巻き起こり、同じような事態を招くのか。

https://www.dailyshincho.jp/article/2019/02210800/?all=1
デイリー新潮 2019年2月21日号掲載