◆ 【有本香の以毒制毒】今こそ韓国・文大統領に「三・一の真実」を教えよう! 日本の不幸は「文氏演説」に反論する政治家がいないこと

「中国人にとって歴史とは『政治』であり、韓国人にとって歴史とは『願望』だ」

誰から聞いたか忘れたが、言い得て妙である。
そして、私たち、現代の日本人にとって歴史とは何か、と問われれば、「国民的趣味」の一つだとは答えられるだろう。

出版不況の中でも、歴史本市場は比較的活況だ。
そのおかげもあり、筆者が昨年来、作家の百田尚樹氏と組んで世に出した3冊の歴史本も売れ行き好調である。

昨年11月上梓された『日本国紀』(幻冬舎)は発売3カ月で65万部を超え、昨年末刊の共著『「日本国紀」の副読本』(産経新聞出版)は20万部となった。
そして、先週3月1日、第3弾“日本国紀外伝”として出た百田氏著『今こそ、韓国に謝ろう そして、「さらば」と言おう』(飛鳥新社)は、日本が朝鮮半島を統治した35年間を詳しく書いた最新刊である。

これも発売から4日で15万部に達し、百田・有本チームの歴史三部作は、計100万部を突破した。
販売好調はありがたいが、われわれの本を含め、日本の巷に数多ある歴史本が、果たして隣国との間の「歴史政争」を好転させる一助となるか否かは不明である。

百田氏の最新刊発売の同日、韓国では「三・一独立記念式典」が大々的に行われた。
ソウルでの式典に集まった1万人を前に、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「歴史の立て直しこそが重要であり、(日本の統治に協力した)親日の残滓(ざんし)清算が課題だ」という激しい言葉を発し、その一方で、「日本との協力強化」をも訴えた。

支離滅裂とも映るこの文言に、第2回米朝首脳会談の決裂ショックが影響したことは間違いない。
だが、そんな事情よりも、筆者が関心を持って見て、結果、残念に思ったのは、この文演説に対し、日本の政界から反論の声が上がらなかったことだ。

「朝鮮の民衆が日帝に反旗を翻した偉大な民族独立運動」と韓国が言う「三・一運動」はどんなものだったのか。
日本人である筆者の知る史実を少々紹介しよう。

日清戦争に日本が勝利したことで清から独立し、大韓帝国初代皇帝となり、日韓併合後は王族だった高宗の死。
これに伴い、一部知識人が起こした「独立運動」とされるのが三・一運動だが、このとき、日本と朝鮮の分断を狙う欧米の宣教師に煽られた朝鮮人キリスト教徒が暴徒化した。

武装した朝鮮人農民が、各地で村役場や警察、商店、富裕地主の家などを襲い、投石、放火、略奪などを働いた。
その鎮圧に日本の治安部隊が動き、500人余が死亡したが、死者数には諸説ある。
文大統領が演説で述べた「7500人」は、そのうちの信憑(しんぴょう)性の低い一説に過ぎない。

騒ぎの首謀者は一体どうなったか。
もし、「三・一運動」が本気で総督府転覆を狙った企てなら極刑もあり得ただろうが、死刑はおろか15年以上の懲役刑を受けた者すらなかった。

代表者の一人で「三・一独立宣言」を起草した崔南善(チェ・ナムソン)は、2年6カ月の懲役の後、満州建国大学の教授となり活躍した。
だが、不思議なことに彼は戦後、「反民族行為」の咎(とが=罪)で韓国政府によって処罰されている。

「歴史の立て直し」が大事とのたまう文大統領に、「崔南善の件や如何(いかが)」と即座に問い返すぐらいの、見識ある国士が国会内にいない。
これがいまの日本の不幸である。

写真:韓国の文大統領夫妻は「三・一運動」の100周年記念式典で万歳したが=1日、ソウル
http://www.zakzak.co.jp/images/news/190308/soc1903080002-p1.jpg

zakzak 2019/03/08
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/190308/soc1903080002-n1.html