2019.03.09

文=編集部

 2020年の東京五輪・パラリンピック開催に伴う訪日外国人増加に向けて、政府も積極的に推し進めるキャッシュレス化。日本の電子決済普及率は先進国のなかでは低いとはいえ、キャッシュレス決済比率は08年の11.9%から16年は20.0%へと推移しており、今後も着実に浸透していくだろう。
 しかし、電子決済ならではのトラブルもある。それがICカード紛失による第三者の不正利用だ。上限いっぱいにチャージしていれば、それだけで被害は大きくなるのに加えて、最近は支払い時に残高が一定額を下回った時点で、登録してある銀行口座などから自動的に入金される「オートチャージ」というシステムがあり、不正利用者はチャージされている金額以上の買い物ができてしまうこともある。
 
 もしICカードをなくしてしまったら、運営会社になるべく早く利用を停止してほしいところだが、そう簡単にはいかないようだ。



ネットには紛失による被害報告が多数

 Twitterで報告されたところによれば、セブンイレブンの電子マネー、nanacoカードを落としてしまったとあるユーザーが、すぐに利用を停止してもらおうとコールセンターに連絡をするも、利用停止は翌日になると言われてしまったそうだ。しかも、その連絡をしている間にカードを拾ったと思われる第三者に、オートチャージされたうえで2万円ものチャージ額を不正利用されてしまい、いずれも補償は一切なかったという。
 2万円でも大きい額だが、nanacoカードのチャージ上限額は5万円、最大オートチャージ金額が3万円なので、最悪8万円の被害にあう可能性がある。このような紛失等による第三者の不正利用被害の報告は、インターネット上で後を絶たない。
 Visaなどのカード会社であれば、即時に利用を停止してくれるはずだが、なぜnanacoカードはそれができないのか。当カードを運営する株式会社セブン・カードサービスの企画部に問い合わせてみた。
――なぜ、利用停止は即時ではなく翌日になってしまうのか。
「詳細については、セキュリティに関する部分もあるため、控えさせていただきます」
――改善の予定は?
「現時点で予定はしておりません」
https://biz-journal.jp/2019/03/post_26998.html

次のページ 即利用停止は電子決済サービス全体の課題?
https://biz-journal.jp/2019/03/post_26998_2.html