タバコをふかし始めた金正恩党委員長にクリスタル製の灰皿を持って近寄り、吸殻を管理する金与正党第1副部長の姿がテレビカメラに捉えられた。これは第2回米朝首脳会談に臨む正恩氏を乗せた特別列車がベトナムに到着する直前の2月26日未明、中国・南寧駅での一場面だ。

 「こうした行為はエチケットを守るための雑用ではありません。最高指導者の正恩氏に関する身体データを徹底的に遮断しようとする北朝鮮当局の確たる意図なのです。例えばタバコの吸殻に付着した唾液から中国や西側の情報機関などが正恩氏の健康やDNAに関する情報を得る恐れがあるためです。与正氏は吸殻を徹底的に管理し、正恩氏がタバコに火をつけた後、マッチをマッチ箱に戻す場面が見られたのも関連情報を遮断する統制管理で、第1回のシンガポールでの米朝会談で、北朝鮮は専用のリムジンなどに加えて、正恩氏専用の移動式トイレを持ち込んでいます。排出物を全部持ち帰るためです」(北朝鮮ウオッチャー)

 国家最高指導者の健康やDNA情報は各国の情報機関が最も欲しがるアイテムだ。敵対国はもちろん、主要相手国の大統領など首脳級要人の生体情報を採取し、自国の該当情報は流出しないように徹底的にセキュリティー措置を取るのが基本だ。

「北朝鮮はこうした情報戦を金日成、金正日時代から徹底させています。そのため、北朝鮮を訪問した米国など西側の人物の手に特殊な装置を装着させ、北の最高指導者の体液を採取しようとした試みもありました。北朝鮮もこのような動きに対応し、セキュリティー対策を徹底的に立てており、タバコの吸殻はもちろん汗や鼻水を拭いたティッシュペーパーやタオル、ホテルなどに落ちた髪の毛まで徹底的に回収して行きます」(同・ウオッチャー)

 2002年9月に訪朝した小泉純一郎首相は、日本から弁当を持参している。拉致問題解決のため、相手側が用意した食事は口にできないと決意していたためだ。外交交渉は舞台裏で駆け引きと情報戦の火花が散る凄まじいまでの現場なのである。

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週刊実話 2019年03月13日 18時00分