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続き。

ただし、民心そのものが問題なのではない。韓国の政治システムの弱点は、政治指導者と司法の決定権者たちが「民主主義は民心に服従することを要求している」と思い込んでいることにある。最も良い例が朴槿恵(パク・クネ)前大統領だ。民心がわき起こると、国会・憲法裁判所・裁判所などの民主主義実行機関が民心の要求に服従した。朴槿恵前大統領の政敵たちですら「懲役25年」という判決が法理的に見てとんでもないことを知っている。それでも大半が判決を支持した。民心の感情的な怒りに見合った判決だったからだ。しかし、先に書いた通り、民心は感情的で不公正で一時的だ。新たな問題が起これば、すぐに別のところに流れる。民心の勢いが弱まれば文在寅(ムン・ジェイン)大統領が介入し、前任者を赦免できるシステムが出てくる。我々は皆、事がそのようになることを知っている。しかし、大統領の赦免権をそのように使うのは、政治が法を侮辱しているのと同じことだ。

民心はすなわち民主主義であるというのは哲学的な誤りだ。官僚・政治家・検事・判事が民心の気まぐれな要求を合理的な法や国益として掲げるのは、民主社会のリーダーという本分に反する。

 まさにここに隠された真実がある。事実決定権者たちは民心に興味はない。批判されるのではないかと恐れて民心に応えているのに過ぎないのだ。韓国の政治リーダーシップが持つこのような欠陥こそ、民心が大規模デモで民主主義を具現してから30年が過ぎたのにもかかわらず、なぜいまだにデモ隊がソウルの街頭を埋め尽くし、裁判所の代わりにさまざまな問題を取り上げているのかを物語っている。彼らがしていること、あるいは共に民主党がドルイドキング事件をめぐってしていることは民心を興奮させ、司法府と決定権者を操縦しようという行動だ。

 我々1人1人が法律に従うように、民心も法に従わなければならないことを、オピニオン・リーダーや政治指導者たちは今こそ勇気を持って示さなければならない。

終わり〆