韓国大統領府の金宜謙報道官は29日、辞任する意向を明らかにした。文在寅(ムンジェイン)大統領の信頼が厚く、「文氏の口」と呼ばれたが、財テクで高額不動産を購入したことが野党などに非難され、辞任に追い込まれた。文氏は、国政に知人を介入させて弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)された朴槿恵(パククネ)前大統領を批判し、自らは「清廉さ」をアピールしてきたため、金氏の辞任は打撃になっている。

 韓国メディアによると、金氏は報道官就任後、銀行から10億ウォン(約1億円)余りを借り入れ、地価が上昇している再開発予定地の不動産を購入。法的に問題はないが、文政権は不動産投機を抑制する政策をとっており、野党議員らは「他人には厳しく自分には甘い」として金氏を非難し、辞任を求めていた。

 金氏は革新系のハンギョレ新聞の記者出身。記者会見では政権に批判的なメディアと歯にきぬ着せぬ論戦を展開し、文氏の「防波堤」の役割を担ってきた。昨年9月に平壌で開かれた南北首脳会談にも文氏に同行し、報道対応を一手に担った。(ソウル=武田肇)

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朝日新聞デジタル 2019年3月29日18時44分