在韓米軍は20日、京畿道平沢のキャンプ・ハンフリーズで高高度防衛ミサイル(THAAD)の展開訓練を行った。THAADの基地がある慶尚北道星州郡ではなく平沢でこの訓練を行うのは異例で、おそらく有事に米軍司令部や空軍などが集結する平沢基地と首都圏を北朝鮮のミサイル攻撃から守るためだろう。

THAADの最大迎撃距離は200キロだが、これだと星州のTHAADでは平沢基地と首都圏の防衛に限界がある。また星州の基地は今も活動家らによる反対の抗議行動で孤立し、また環境影響評価のため工事も遅れている。

韓国国防部(省に相当)は「訓練用のTHAAD発射台は事実上の抜け殻」として今回の訓練についてはさほど重要視しないそぶりを見せた。THAADというだけで怒り狂う北朝鮮を意識した反応だ。このようにTHAADを厄介者扱いする韓国政府の本音を米軍もよく理解している。

それでも今回は見せつけるかのようにTHAAD訓練の様子を撮影した写真をSNS(会員制交流サイト)などで公表した。

米軍は先月、ハワイに拠点を置く海兵隊を韓国に派遣して独自の訓練を行い、また米沿岸警備隊所属の大型警備艦バーソルフを釜山港に入港させた。韓米合同軍事演習が次々と行われなくなる中で、米軍は独自の能力だけは引き続き強化しているようだ。

軍事同盟は平時から連携を取らないと有事にその戦力を発揮できないが、40以上の国と軍事同盟を結ぶ米国がこのような事実を知らないはずがない。そのため米軍が独自に行っている一連の訓練は、北朝鮮が嫌う韓米合同軍事演習に消極的な韓国政府に対する一種の抗議行動のようでもある。

ハリス駐韓米国大使は記者団の取材に対し、北核交渉において韓国政府が掲げる「中間段階の交渉」について「意味が分からない」と述べた。これも通常では考えられないことだ。同盟国の大使が駐在国の安全保障政策について公の席で「分からない」と発言するのは非常に珍しい。

説明を受けていないとか、説明を聞いても理解できないという意味ではないだろう。米国は「完全な非核化が実現する前に制裁の緩和はない」との意向をすでに何度も伝えているにもかかわらず、同盟国の韓国がそれに反する提案をしつこくしてくるため「分からない」という遠回しの表現で韓国政府の対応を批判したのだ。

ベトナムのハノイで行われた2回目の米朝首脳会談では、決裂の瞬間まで韓国政府がそれを予測もできなかったことや、また韓米首脳会談がわずか2分で終了したことはいずれもただごとではない。同盟が危機的状況にあるという警告のシグナルがさまざまな方面で出始めているのだ。


2019/04/25 09:30
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