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続き。

北朝鮮は、国際制裁のフレームを緩和するために外交力の戦略的強化を図る一方で、使える船舶を総動員して違法な瀬取り(船舶間の物資の積み替え)を行い、必要な外貨と原油を確保している。これを阻むために国際社会も総力を挙げている。韓半島(朝鮮半島)の周辺海域には、米国や日本だけではなく、英国、フランス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど各国の海軍が配置されており、海上における北朝鮮の違法密売を摘発するために、24時間体制で監視活動を行っている。ところが、こうした摘発において主役となるべき韓国の姿が見られないばかりか、むしろ制裁の穴となっているのではないかと国際社会から疑いのまなざしで見られている。昨夏、数十万トンに及ぶ北朝鮮の石炭が韓国にひそかに搬入された。まかり間違えば、韓国の国民企業である鉄鋼会社や電力会社、最大手の都市銀行までが制裁の対象となるくらいの危険な瞬間だった。幸い事は警告で済んだ。しかし、搬入されたのは何も石炭に限られていたわけではない。国連対北制裁委員会と米政府が最近報告したところによると、韓国製の精製油が韓国の船舶まで動員され、相当量が北朝鮮に違法搬出されたという。ある船舶などは、公海上で27回にわたって16万トンの精製油を積み替えするために使用されていたことが分かった。英海軍によって違法の瀬取りが摘発されたシンガポール国籍の油槽船は、韓国から10万トン以上の精製油を違法搬出したのではないかとの疑いが持たれている。麗水、釜山、光陽に違法の密輸船が何度も出入りしている。驚くべきことは、韓国港湾で密輸行為が行われ、さらには韓国国籍の船舶までが動員されているというのに、これまで韓国は1件も摘発していないということだ。当然韓国海軍と海洋警察庁は、朝鮮半島の周辺海域で最も大きな監視資産を所有している。特に海軍は、小さな高速スパイ船も捕まえることができる最高水準のノウハウを持ち合わせている。貨物船や油槽船のような大きな船を摘発することができないわけがない。韓国政府が抑留している5隻の船舶も、韓国が摘発した船ではなく、国際社会が提供した情報に基づき摘発した船舶だ。対北制裁専門家のヨシュア・スタントン氏は、同問題が政治的スキャンダルに飛び火する恐れがあると警鐘を鳴らす。

問題は、スキャンダルとして終われるような単純な内容ではないということだ。韓国企業と金融機関が米国によってセカンダリーボイコットの対象となれば、対外依存度100パーセントの韓国にとっては致命的だ。そうでなくとも低迷を続ける韓国経済が、こうした外部からの衝撃に果たして耐えることができるのか懸念される。通貨危機のショックからも分かるように、韓国経済は一瞬にして崩壊する恐れがある。文在寅(ムン・ジェイン)政権は南北関係に「完全投入」することで、国民の生活を奈落の底に突き落とすようなまねだけはしないよう心から願っている。

終わり〆