【ソウル聯合ニュース】韓国政府が北朝鮮に対する人道的な食糧支援の推進方針を公にしたことで、どういう形の支援が検討されるかに関心が集まっている。

統一部の李相旻(イ・サンミン)報道官は8日の定例会見で、「国際機関が北の食糧事情が大変深刻と発表したことに対し、同胞として人道的な面で憂慮している」としながら、「国際社会と緊密に協力しながら北の住民に対する人道的な食糧支援を推進していく」と言明した。

国連食糧農業機関(FAO)と国連世界食糧計画(WFP)は3日、北朝鮮で行った実地調査の結果を発表し、北朝鮮の食糧事情がここ10年で最も深刻な水準だと報告した。

 また、韓国青瓦台(大統領府)によると、トランプ米大統領は7日夜に文在寅(ムン・ジェイン)大統領と電話会談した際、「韓国が人道的な観点から北朝鮮に食糧を提供することは極めて時宜にかなうもので、肯定的な措置になる」と評価し、食糧支援を支持する意向を示した。

 これを受け、政府は北朝鮮への食糧支援の方法や時期、規模などについて具体的な検討に入ると予想される。

 青瓦台の関係者は記者団に対し、「北への人道的な食糧支援をトランプ大統領が支持したため、どんな物がどんな方法でどれだけ支援されるかが気になるだろうが、決まったことはない」と述べた。直接支援なのか国際機関を通じた支援なのかを含めて検討が行われるだろうと伝えた。

 現時点では、国際機関の対北朝鮮支援事業に政府が拠出する形の支援が有力とみられている。

 政府は2017年9月、国連児童基金(ユニセフ)とWFPの北朝鮮に対する母子保健・栄養支援事業に800万ドル(約8億8000万円)を支援することを決めたが、米国が北朝鮮への圧力を継続したことから実施できなかった。この計画は期限が切れたため、支援の規模や使い道などは変更できる。国際社会に約束し、内部で決定していながら実行に移せなかったという「名分」もあることから、この形の支援を推進するとの見方は多い。

 一方で、国際機関を通じた間接的な支援ではなく、過去のような直接の食糧支援を検討するとの観測も一部にある。政府は2000年と02〜05年、07年に年間30万〜50万トンのコメ借款を北朝鮮に提供した。北朝鮮核危機が高まった06年には水害の復旧支援の名目でコメ10万トンを無償支援した。直接支援をするとなれば南北間の協議が必要になり、これが南北対話の停滞を打開する契機になる可能性もある。

 だが、北朝鮮がWFPとFAOの調査結果発表の直後に短距離飛翔体を発射し、韓国と米国に対する強硬姿勢を鮮明にしたことから、韓国の直接支援を受け入れる可能性は低いとの指摘が出ている。韓国政府としても、飛翔体発射で悪化した北朝鮮に対する国内世論を考慮せざるを得ない。

 韓国の対北朝鮮支援団体の関係者は「ひとまず800万ドルの支援案を推進し、追って北と(直接支援を)協議していく形が妥当なのでは」と話している。

https://m-jp.yna.co.kr/view/AJP20190508002900882?section=politics/index
聯合ニュース 2019.05.08 15:27