韓国料理や化粧品などの店が集中する東京・新大久保。最近は韓国語風に、「シノクボ」と呼ばれることもある。先日、食堂を借り切って、懇親会が開かれた。

 韓流に関わっている人たちが集まって、名刺や、仕事上の情報を交換しようという珍しい試みだった。

 たまたま主催者と知り合いだったので、私も参加させてもらった。午後七時すぎになると、五十人ほどの会場は満席になった。

 国籍、年齢はさまざま。日本、韓国、中国の人もいた。白く濁った伝統の醸造酒、「マッコリ」を片手に話が弾んだ。

 食文化や映画、音楽などの専門家、ユーチューブを使って旅行情報を発信している「あゆっし」さん、サッカー取材のジャーナリスト、韓国語学習雑誌の編集長もいた。

 わざわざ神戸から参加した女性は、日本ではまだ知られていない地方都市・大邱(テグ)の旅行情報をブログや本を通じて丁寧に紹介し、メディアにたびたび登場している。

 それぞれ韓流に関する寄稿や講演を行ったり、現地ツアーを主催し、固定ファンをつかんでいるという。

 政府レベルでみると、最近日韓関係は険悪な状態が続いており、韓国を批判する記事や本もあふれている。しかし、政治に左右されない民間レベルの幅広い活動が、二つの国をしっかりつないでいる。   (五味洋治)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019060302000156.html
東京新聞 2019年6月3日