金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が習近平中国国家主席と首脳会談を終え、ドナルド・トランプ米大統領の親書を公開してG2(主要2カ国)同時外交を誇示した。特に、金委員長が習主席と首脳会談前にトランプ大統領に親書を送り、首脳会談後トランプ大統領から親書を受けた姿を演出した点を注目する必要があるという指摘が多い。北朝鮮が中国と首脳会談をしながら米国とも接触したからだ。金委員長が米中貿易戦争の局面でG2の競争構図を活用した外交力を駆使したという評価が出る理由だ。金委員長は4月にはウラジミール・プーチン露大統領と首脳会談を行った。 

  2月ハノイ第2回米朝首脳会談の「ノーディール」以降衝撃を受けた金委員長が露朝首脳会談で始動した後、中朝首脳会談と親書外交で非核化交渉に本格的に出たという見方だ。 

  しかし、金委員長は唯一、韓国に沈黙している。韓国政府は先月17日、開城(ケソン)工業団地企業家の訪朝を承認、国連世界食糧計画(WFP)に800万ドル(約8億5000万円)の支援計画を発表して停滞した南北関係のきっかけをつくるために北朝鮮に誘引策を投げた。だが、北朝鮮は24日を基準として39日間沈黙で一貫している。 

  南北離散家族の再会は国連安保理が3月、画像再開に関連した物資・装備搬出に対して北朝鮮への制裁免除を決めたが、北朝鮮が呼応していない。韓国政府は19日、韓国産コメ5万トンという北朝鮮への追加支援案を発表しながら、直接支援の代わりにWFPを通した間接支援方式を選んだ。北朝鮮が韓国側の食糧支援に呼応がなかった点が影響を与えたと伝えられた。 

  北朝鮮は4月12日、最高人民会議の施政演説で「(韓国側は)差し出がましい仲裁者の振舞いをするのでなく、当事者になれ」と主張した。対話の断絶はそれから長期化している。 

  北朝鮮との対話断絶に関連し、南北関係に精通した消息筋は「ハノイ会談以降、南北の情報ライン疎通チャンネルが中断されたため」と明らかにした。昨年から南北は国家情報院と統一戦線部のラインを稼動して3回にわたる南北首脳会談などを実現させた。だが、ハノイ会談以降北朝鮮が大々的な検閲に入り、南北疎通チャンネルが中断されたと伝えられた。対米・対南政策を総括した金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長は統一戦線部長から退くなど、職位に変化が生じた。 

  青瓦台(チョンワデ、大統領府)と韓国政府は29〜30日、韓米首脳会談の前に南北首脳会談の開催の可能性に備えている。韓国政府当局者は24日「昨年5月26日、板門店南北首脳会談も20時間ぶりに実現した」とし「北朝鮮が26日午前まで通知してくるなら、首脳会談は可能だ」と話した。文大統領はG20(主要20カ国)首脳会議の出席のために27日に出国する。 

  だが「北朝鮮木船入港事件」で青瓦台責任論まで浮上しており、状況は尋常ではないという見方が多い。このため、G20を目の前にして北朝鮮をはじめ周辺国が活発に外交を展開しているが、韓国だけがパスされるのではないかという懸念の声が出ている。東国(トングク)大学のコ・ユファン教授は「米朝は互いに親書がやりとりされ、習主席を通じて非核化のメッセージも伝達した」として「北朝鮮は現状況で南北首脳会談の必要性を特別に感じることができないだろう」と話した。ただし「今は米朝間非核化交渉が再開されるのが重要な時点」としながら「今後3カ国、4カ国間構図になる時も政府が時機を失してはならないだろう」と話した。

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[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]2019年06月24日 18時08分

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文在寅大統領(写真=青瓦台写真記者団)