安倍晋三首相は29日、20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の閉会セッションで「本日、大阪宣言を採択することを喜ばしく思う」と述べた上で、「グローバル化による急速な変化への不安や不満による対立が強調されるなか、国際社会が団結して課題に立ち向かい、力強いメッセージを発出することができた」と語った。

 閉幕のあいさつ全文は次の通り。

 ここにいる皆さんの成功に向けた貢献に改めて感謝いたします。昨年12月に(アルゼンチンの)マクリ大統領から議長を引き継いでから、閣僚会合での努力を含むあらゆる準備を重ねた結果、本日、大阪宣言を採択することを喜ばしく思います。また、首脳宣言の文言調整のため、夜を徹して作業を進めてくれた各国のシェルパ(首脳の個人代表)にも感謝の意を表したいと思います。

 グローバル化による急速な変化への不安や不満による対立が強調されるなか、国際社会が団結して課題に立ち向かい、力強いメッセージを発出することができました。とりわけ、自由・公正・無差別な貿易体制の維持・発展について、合意できる共通点を見いだし、データの潜在力を最大限活用するための国際的なルールづくりを進めるべく、信頼性に基づく自由なデータ流通、すなわち『DFFT』の考え方を共有し、海洋プラスチックごみ対策のビジョンに合意をし、そして女性のエンパワーメントについても、モメンタム(勢い)を高めることができました。

昨年のブエノスアイレス首脳宣言を踏まえ、さらに踏み込んだ主要な合意ができたことは国際社会に改めてG20の結束を示せたといえると思います。

 ここで本年12月から次期議長を引き継ぐムハンマド・ビン・サルマン・サウジアラビア皇太子より来年11月のリヤドサミットに向けた抱負をご発言いただきたいと思います。

(ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が発言)

 ムハンマド・ビン・サルマン皇太子、ありがとうございました。発言に感謝いたします。ぜひ、大阪首脳宣言を引き継ぎ、議論を深めて参りたいと思います。日本としても11月末までの議長国任期を可能な限り、実り多きものとした上で12月にサウジアラビアにバトンを渡したいと思います。

 われわれG20には世界経済をリードする国々として世界的な課題について率直に話し合い、そして解決策を見いだす責任があります。世界経済の先行き、持続可能性についてさまざまな懸念が指摘される時代にあって、その責任はますます大きなものとなっています。

 大阪宣言に基づき、意見の違いではなく、共通点や一致点を粘り強く見いだすこと、自由で開かれた包摂的かつ持続可能な未来社会の実現に向けた協力を継続していきたいと思います。

 また、短い滞在だったと思いますが、歴史と伝統ある日本有数の観光地であり、わが国でもとりわけ、食文化の豊かなここ大阪での時間を人情味あふれる人々の最高のおもてなしのもと、十二分に楽しんでいただけたことを期待したいと思います。

 新しい令和の時代の幕開けにG20リーダーの皆さまのご協力をいただきながら、G20大阪サミットを成功に導けたこと、改めて感謝申し上げたいと思います。

 それではここにG20大阪サミットの閉会を宣言したいと思います。

https://www.sankei.com/politics/news/190629/plt1906290016-n1.html
産経ニュース 2019.6.29 15:07