愛知県で1日から開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に、いわゆる従軍慰安婦を象徴する少女像が展示され抗議が殺到している問題を受け、実行委員会会長を務める大村秀章県知事は3日、記者会見を開き、少女像の展示を含む企画展「表現の不自由展・その後」を同日限りで中止すると発表した。テロ予告や脅迫と受け取れる抗議もあったといい、「これ以上エスカレートすると安全、安心な運営が難しくなる」と中止の理由を述べた。

 大村知事によると、企画展会場の県美術館(名古屋市東区)に2日朝、「(少女像を)撤去しないとガソリン携行缶を持ってお邪魔します」と記されたファクスが送られてきたという。大村知事は「京都アニメーションの放火殺人事件を連想させる内容だった。卑劣で非人道的な脅迫が事務局の機能をマヒさせている」と述べた。

 少女像の展示については6月半ばに報告を受けていたといい、「行政が展覧会の内容に関与するのは控えるべきで、芸術監督の決定を尊重した」と説明。しかし、電話やメールによる苦情が今月2日までに約1400件に上り、「来場者や職員らの安全を考え判断した。関係者におわびする」と謝罪した。

 その後、津田大介芸術監督も記者会見し、「作家には申し訳なく断腸の思い。物議を醸す展示を入れることが適切だったか考えなければならないと思う」と述べた。

 一方、企画展の運営メンバーたちも記者会見を行い、「今回の中止決定は一方的に通告されたもの。本展を会期末(10月14日)まで継続することを強く希望する」との声明を発表。決定に法的手段を取ることも辞さない姿勢を示した。

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讀賣新聞 2019年8月3日(土)