● ニコ生対談は謝罪。不自由展は「大きな今日的意味があった」

2019年4月に放送されたニコニコ生放送での東浩紀さんとの対談にも批判が殺到していた。東さんは番組内での発言についてTwitterで謝罪を繰り返している。

番組内で昭和天皇について「2代前」と語ったことに関して、津田さんも「作品に使われていた主権者としての昭和天皇は、僕にとっては、それ以前の天皇と同じように、歴史的、象徴的な存在だった」と釈明。「そうではない人々が抱く感情についてもっと想いを馳せるべきだったと反省しています」とつづった。

一方、「表現の不自由展」自体については、「愛知県や名古屋市などの公的組織が関与した芸術祭においてなされるに相応しいものであったと今も考えています」と理解を求めた。


● 作品は「日本人ヘイトではない」

津田さんはこれまで、「表現の不自由展・その後」に展示された作品自体への詳しいコメントは避けてきた。だが、文章の中では、「日本人へのヘイト」だという展示への抗議にも、津田さんなりの言葉で回答した。

昭和天皇をモチーフとした大浦信行氏の作品「遠近を抱えて」(4点組)については、「大浦さんが自画像として作成した作品が燃やされたことを映像的に再現したものであって、日本人自体を貶めようとするものではない」と指摘した。

また、「平和の少女像」については、次のようにつづった。


僕は次のように考えています。
ほとんどの国や社会においては、政府や軍隊、あるいは民衆が、自国民や他国民の人権を抑圧した負の歴史を持っています。
しかし、多くの国や社会は、そのような歴史を反省し、繰り返さず、今の自分たちが自国民からそして他国民から尊敬を受けられるように立派に生きていこうとしています。
それは、僕たちの日本社会も同様であると、僕は信じています。
ですから、自国であった負の歴史を思い起こさせる作品を展示することが、その国や国民に対するヘイトにあたるとは考えていません。
従軍慰安婦問題については、彼女たちを集める過程で強制があったか否か、彼女たちを集め、管理する過程で軍隊の関与があったのか否か、あったとすればどの程度のものであったのかについて論争があるものの、従軍慰安婦となった方々の名誉と尊厳を深く傷つけ、彼女たちが慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた耐えがたい苦痛を与えてしまったことについては、日本政府としても心からお詫びと反省の気持ちを表明しています。
したがってキム・ソギョン/キム・ウンソン夫妻の《平和の少女像》は、日本政府の歴史認識を超えた歴史観を僕たちに押しつけるものではなく、そのような過去を反省し、未来に向けて立派に生きていくことを誓った僕たち日本人を貶めるものではないと考えます。
<津田大介さん「あいちトリエンナーレ2019『表現の不自由展・その後』に関するお詫びと報告」より>


部分抜粋