政府の脱原発政策により、慶尚北道慶州にある月城原子力発電所1号機が早期に閉鎖される。早ければ今月中に永久停止が確定する予定で、原発業界の懸念が高まっている。

 オム・ジェシク原子力安全委員長は、今月11日に開かれる委員会会議で月城1号機に対する「永久停止案」を審議案件として上程すると7日明らかにした。原子力安全委が永久停止案を確定すれば、月城1号機は古里1号機に続き、国内2番目の永久閉鎖原発となる。

 月城1号機は2012年に韓国水力原子力(韓水原)が7000億ウォン(現在のレートで624億円)を投じ、安全性強化措置を終えた上で運営の10年延長の承認を受けた。それにもかかわらず早期閉鎖となり、論議を呼んでいる。韓水原の理事会は昨年6月「経済性がない」との理由で月城1号機の早期閉鎖を決めた。しかし、早期閉鎖の根拠となった経済性の評価が誤っていたという指摘が相次ぐと、国会産業通商資源中小ベンチャー企業委員会は韓水原理事会に対する監査院監査の要求案を議決した。

 政府の急進的な脱原発政策によって低迷に陥った国内の原発業界の反発も強まる見通しだ。原発業界は、原発の安全な運営と過去60年にわたり構築してきた原発の生態系の維持のために、政府に対し脱原発の速度を緩めるよう求めている。

 ナ・ギヨン斗山重工業副社長は7日夕、産業資源委の国政監査に証人として出席し「脱原発政策によって、6つの原発の稼働中断に伴う売り上げ損失は7兆ウォン(約6200億円)に達する」として「原発建設の中止により、協力会社約460社の売り上げが急減した上、来年からは斗山重工業も困難になる」と話した。

 さらに、原発の生態系維持のために新ハンウル3、4号機の建設再開を求めた。ナ副社長は「残りの原発を安全に運営し、維持・保守するためには物量がなければならないが、(現在は)物量がなく原発の生態系が崩壊してきている」として「エネルギー産業は長期間かけて投資を行い、人材を育成しなければならないのに、短期間で(協力会社が)適応するのは容易ではない」と訴えた。

 しかし政府は新ハンウル3、4号機の建設を再開する考えはないとの立場だ。

 このような状況で、月城1号機まで永久停止となれば、原発の稼働停止によって仕事のなくなった原発業界は一層困難な状況になると予想される。コ・ハンソク韓国原子力研究員労組副委員長は「原発を安全に継続して運転するために7000億ウォンを投じて主要部品を新品に交換したのに、早期閉鎖するとは原発業界の立場としては納得しがたい」として「このように原発建設と運営が縮小されれば、高度な人材の離脱スピードが速まるだろう」と話した。

イ・ジェウン記者

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チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版 2019/10/08 22:58