トルコがシリア国境地域のクルド人勢力に対する軍事攻撃を開始した。5年前、クルド人勢力が米国と同盟を結び、イスラム国(IS)掃討を繰り広げた時は、トルコがクルド人勢力に手を出すことなど思いも寄らなかった。しかし、トランプ大統領は7日、「クルド人勢力に多大な資金と装備がかかっている。我々の利益になるところだけで戦う」と述べて状況が急変した。現地に駐屯している米兵約1000人はトルコ軍のクルド人勢力攻撃を見ているばかりだという。クルド人勢力は米国のためのIS掃討に兵力15万人を動員、1万人以上が戦死した。その血の代価がトランプ大統領の裏切りだった。裏切りの理由も「金」のためだった。

 トランプ大統領の裏切りを見て、多くの専門家が「ひとごとではない」と言っている。トランプ大統領は韓米同盟も金で計算する人物だ。韓米合同軍事演習も「完全に金の無駄」と言い、在韓米軍防衛費分担金も突然5倍に引き上げろと要求している。韓米合同軍事演習の中止を一方的に決めた昨年、シンガポールでは「在韓米軍を撤退させたい」という意味の発言を立て続けにした。

 米国は、北朝鮮が国連安保理決議違反である潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射したのにもかかわらず、安保理会議を招集していない。見かねた英国などが8日、安保理を開いたが、米国が傍観していたため、北朝鮮のSLBM発射を糾弾する「議長声明」すら不発に終わった。文在寅(ムン・ジェイン)政権は当然、手をこまねいているだけだった。来年の大統領選挙を前に、「金正恩(キム・ジョンウン、朝鮮労働党委員長)のショー」に夢中のトランプ大統領が北朝鮮のご機嫌をうかがっている間に起きた異例の現象だ。最も憂慮すべきことは、金正恩委員長がこうしたトランプ大統領を注意深く見ているという点だ。金正恩委員長が妄想を膨らませ、冒険への誘惑をさらに強く感じる可能性がある。我が国の安全保障にとって一度も経験したことのないことが起こるのではないだろうか。

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/10/11 20:00