韓国政府がこうした動きに対して改善を要求するたび、中国政府は「業界の決定」だとして責任逃れをする。しかし、CTSなどの中国の大手旅行会社がどこもホームページに韓国ツアーを掲載していないのは政府の指示がなければ不可能だ、というのが業界関係者の話だ。

■公演:歌手・アイドルグループ公演は中止、韓国ミュージカルは上演

 韓国の歌手たちは2016年に限韓令が始まって以降、中国本土で大規模なコンサートを開けずにいる。男性アイドルグループ「防弾少年団(BTS)」はこのほど終了したワールドツアーで、中国本土ではなく台湾と香港で1回ずつ公演をした。芸能界関係者は「公演を申請しても許可が出ず、理由も説明してくれない状況が続いた」と話す。中国が投資して韓国に設立した芸能事務所「YUE HUAエンターテインメント」も同じだ。同社関係者は「中国人メンバーのみ中国での活動が可能な状況だ」と説明した。中国での活動が全面的に中断されているため、SMエンターテインメントなどは中国現地法人を作り、中国人だけで構成されたアイドルグループを作っている。

 韓国ミュージカルは中国で上演されているが、ライセンス公演方式によるものだ。ライセンス公演とは、韓国の原作に中国人俳優をキャスティングして行う公演だ。創作ミュージカル『洗濯』は2017年に初めて中国でライセンス公演を行ったのに続き、昨年は上海と北京でも上演された。ミュージカル業界関係者は「中国内のミュージカル公演の需要が増え、中国人が中国で公演する、いわゆる現地化作業がやりやすい韓国ミュージカルは好まれる傾向にある」と話した。