【ソウル=桜井紀雄】韓国大統領府は22日、韓国政府が8月に行った日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄するとの通告の効力を停止すると発表した。23日午前0時に期限が迫っていた協定の失効は当面回避されることになった。ただ、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、日本による対韓輸出管理厳格化の撤回を協定維持の条件とする立場を崩しておらず、失効の“凍結”措置にすぎない。

 協定を日米韓安全保障協力の象徴とみるトランプ米政権は、破棄見直しを繰り返し強く求め、日韓当局が22日も水面下で交渉を続けてきた。文氏は19日に失効を回避するため、「最後の瞬間まで日本とともに努力する」と表明していた。
 大統領府は21日に続いて22日も国家安保会議(NSC)を開いて対応を協議。金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長が同日夕に記者会見で措置を発表した。金氏は「いつでも協定を終了できる前提下での決定」だと強調し、日本側も「これに理解を示した」と説明した。
 金氏は、日韓が輸出管理措置問題で正常に対話を進める間は、この措置をめぐる世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを見合わせる方針も明らかにした。
 日本政府は、協定と輸出管理措置は「次元が異なる問題」との立場で、日韓が協議を続けても交渉は難航しそうだ。
https://www.sankei.com/world/news/191122/wor1911220028-n1.html