韓国の女性グループ「KARA」元メンバーで歌手のク・ハラさん(28)の自殺をきっかけに、
性的暴行に絡む法改正とリベンジポルノに対する厳罰を求める声が同国で強まっている。

クさんは11月24日、ソウルの自宅で死亡した状態で見つかった。その際、絶望をつづったメモが見つかったと警察は説明している。
インスタグラムの最後のメッセージは「お休みなさい」で、ベッドの上で毛布にくるまってカメラレンズを見つめる写真が掲載されていた。

韓国ではクさんが過去にリベンジポルノの脅迫を受けたと主張するなど、元ボーイフレンドから暴力を受けていたことはよく知られている。
同国のソーシャルメディアで11月最終週最も注目を集めたハッシュタグ2件は、この元ボーイフレンドへの処罰と性的暴行の定義刷新を求める内容だった。

法改正を求めて大統領府に提出された請願には、約25万人が署名した。

相手に分からないように性的な動画を撮影したりリベンジポルノの行為に及んだりした者への厳罰を容易にする措置をめぐる国会審議は滞っていたが、
これを前進させる時期だと議員らも主張している。

正義党の李貞味議員はソーシャルメディアに、クさんの死は変化の必要を示すと投稿。

刑法上のレイプの定義を変える法案を2018年9月に提出した同議員は、性犯罪をめぐる判断が現行では同意の有無ではなく、
被害者がどれだけ「抵抗」したかに焦点が絞られていることを最近の判例は示していると述べた。

現地メディアなどによると、モーテルに一緒に入った女性を乱暴した男性は18年5月、男性判事によって無罪となった。
証拠として提示された監視ビデオには女性を引っ張る男性が映っていたほか、女性が行為を拒んだことを判事は認めたものの、危険な状況ではなかったと判断したという。

昨年11月の別の無罪のケースでも、女性が男性の手を握ったりレストランで肉を分けてあげたりしていたことが
性行為への同意と男性判事は判断したと伝えている。


訴追例ほとんどなし


クさんの場合、元ボーイフレンドは暴行で有罪となったものの、裸体を撮影し脅迫しようとした罪には問われなかった。

このような撮影を取り締まる法律はリベンジポルノに適用可能だが、韓国で訴追例はほとんど聞かれない。
米国の40州余りで違法となるのとは対照的だ。

韓国で性犯罪撲滅に取り組む活動家、クレア・パク氏は「韓国社会には、レイプは暗い夜道でどこからともなく現れるモンスターによるものだという誤解がある。
このため、もっと身近で親しい誰かが加害者になる公算がもっと大きいことが理解されない」と述べた。
https://www.sankeibiz.jp/workstyle/news/191221/cpd1912210705002-n1.htm