● 僕の人生を変えた1杯のコーヒー

 今年最初の週末。ソウルの観光名所・仁寺洞は、家族連れやカップルでにぎわっていた。檜垣祐太郎さん(24)は友人の日本人女性と街頭に立った。片手でスケッチブックを頭上に掲げた。日韓の国旗を描き、英語でシンプルなメッセージを添えた。

「フリーハグ 私たちは一つ」。

裏面には韓国語で「韓国を愛しています」。


 1時間で約30人とハグを交わした。「韓国が好きなの?」「頑張ってね」。声をかけられ、「ありがとう」と一言ずつ、日本語と韓国語で返し続けた。気温は5度。ひざは痛んだが、寒さは感じなかった。
 昨年9月に活動を始めた。ソウルの光化門広場でフリーハグを行い、SNSで話題となった桑原功一さんの動画を見たのがきっかけだった。「これだ」と思った。

 徴用工問題で日韓関係は急速に悪化した。広島に住む母親は息子が危険な目に遭うのではと心配する。SNSを通じて、見知らぬ人からも同じような質問が届く。危なくないと言葉で説明しても理解されない。だから、街頭に立ち、ハグする様子を動画で発信しようと考えた。

朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASN234TKCN17UHBI01L.html