韓国警察当局は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と与党関係者を非難する内容のビラを配布した保守系市民団体の代表に「侮辱罪」を適用し、携帯電話を押収した。侮辱罪は告訴なしに裁判に付すことはできないが、警察は「捜査は可能だ」との立場だ。

ソウル永登浦署は11日昼、市民団体「ターニングポイント」のキム・ジョンシク代表(33)が勤務する仁川市南洞区のオフィスを訪れ、キム代表の携帯電話を押収した。キム氏は昨年7月、国会の噴水台周辺で「民族問題人研究所」の名義で文大統領ら与党関係者を批判する内容のビラをまいた疑い。

ビラの表面には「北朝鮮の犬、韓国大統領文在寅の真っ赤な正体」と書かれた日本の雑誌のページが印刷されていた。裏面には文大統領をはじめ、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長、柳時敏(ユ・シミン)盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団理事長ら与党関係者の先祖が日帝強占期にどんな官職に就いていたかなどが書かれていた。

キム氏に適用されたのは侮辱罪だ。法曹界はキム氏のビラで「侮辱」の被害を受けたのは文大統領だけだとみている。侮辱と名誉毀損は似ているが、具体的な事実を含むのが名誉毀損、単純な意見であれば侮辱となる。朴市長、柳理事長については、具体的な事実、または虚偽事実が含まれていないと判断した。

侮辱は告訴がなければ起訴できない。警察は大統領がキム氏を告訴したかどうかを明らかにしていない。警察関係者は「通常は最高罪であっても、公訴提起を念頭に置いて捜査を行っている」と話した。

法曹界関係者は「被害者が一般人であれば、警察は全く動かなかったのではないか。事実上、国家元首冒とく罪を復活させたものだ」と指摘した。

キム氏は永登浦署で取り調べを受けた後、「共犯を明かせば、携帯電話を早く返却できると懐柔された」と語った。キム氏は「文在寅政権は北朝鮮から『ゆでた牛の頭』『身の程を弁えない醜態』などさまざまなことを言われながら、何も言えずにいるのに、一般人ばかりを強圧的に捜査している」と非難した。

警察関係者は「適法な手続きに沿って捜査を進めている」と語った。


2020/02/12 10:46/朝鮮日報日本語版
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