北朝鮮の平壌で今月15日、高熱の症状を示していた男性が死亡した。
当局は急遽対策に乗り出したと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

平壌市党(朝鮮労働党の平壌市委員会)では、15日午前の生活総和(総括)を行っていたが、その真っ最中に死者発生の話が伝えられた。

死亡したのは、市内の大同江(テドンガン)区域紋興二洞(ムヌンイドン)に住む40代のオさんだ。
2018年に中東のカタールに建設労働者として派遣されたが、先月中旬に中国を経由して帰国した後、
今月に入ってから高熱の症状が出て、15日に亡くなったと伝えられている。

男性死亡の情報が伝えられて10分も経たないうちに、平壌市党は生活総和を中止して緊急非常防疫会議を招集し、
大同江区域の緊急防疫指揮部の人員も参加させた上で、対策を討議した。

防疫体制が脆弱な北朝鮮、それも首都・北朝鮮で感染が広がれば、体制を揺るがしかねない一大事となる。

亡くなったオさんの自宅、マンションの階段とエレベーターの消毒、500人にのぼるマンション住民の隔離、
そして、今後1週間、毎日体温チェックを行い、緊急防疫指揮部に報告することなのの指示が伝達された。

市民の間では「オさんは新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなったのではないか」との噂が経っているが、
北朝鮮当局は18日午後の時点で、国内での感染者についての正式な発表は行っていない。

情報筋によると、亡くなったオさんの遺体は病院に運ばれ、解剖が行われた結果、急性肺炎で死亡したとの結論が出された。
平壌市党が緊急会議を開き、マンションの消毒を行いつつも、新型コロナウイルスの感染者発生を認めない姿勢に対して市民からは
「ありえない」との反応が出ている。つまり、情報の隠蔽を図っていると思われているということだ。

また、遺体は家族の同意を得ないままに火葬された。
平壌では、高熱の症状を示した3人が先月から今月にかけて死亡したが、うち1人についてはオさん同様に家族の同意を得ないまま火葬されている。

噂を抑え込むための措置と思われるが、当局が正確な情報を出さないため、市民の疑心暗鬼は深まるばかりだ。
https://dailynk.jp/archives/129588