<これまでに日本で走る列車の8割に乗ったという徐圭浩は、鉄道旅行のコンサルタント。日本の鉄道のどこに魅力を感じるのか。本誌「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」より>

乗り鉄や撮り鉄などコアなファンが多くいる日本の鉄道だが、韓国にも日本の鉄道をこよなく愛する「鉄ちゃん」がいた。鉄道旅行のコンサルタント、徐圭浩(ソ・ギュホ、43歳)だ。

幼少の頃から鉄道好きで、大学で観光開発学を学ぶと卒業後は旅行代理店に就職した根っからの旅好き。特に日本の鉄道に魅せられ、これまでに日本で走る列車の8割に乗った。

韓国のネットメディア、オーマイニュースに日本での鉄道旅行について数多く寄稿してきた徐に、ジャーナリストの朴辰娥(パク・ジナ)が聞いた。

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――いつから鉄道に興味を持ち始めた?

子供の頃から好きで、10歳になると一人で地下鉄に乗るのを楽しんだり、駅の名前を全部覚えたりしていた。南北境界線の非武装地帯付近にある汶山(ムンサン)駅まで行ったこともある。

日本の鉄道に興味を持ったのは、漫画やアニメで有名な『銀河鉄道999』の影響が大きかったと思う。蒸気機関車が宇宙を飛んで走るなんて、驚きの発想だった。

――これまで日本で多くの鉄道に乗ってきた。

日本を初めて訪れたのは大学生の時で、JRの乗り放題切符を使って友人らと10日間で日本を一周した。卒業してからは旅行代理店に勤務し、仕事でもよく日本に行った。就職してから3年後の2002年には日本の地方都市の担当主任になり、北海道、東北、四国や沖縄などへのツアーを企画した。

当時、これらの地方都市は韓国人にとってはまだマイナーな存在。札幌などへは大韓航空しか就航しておらず、航空券も4万〜5万円と高かった。そこで、(当時は)札幌よりも安かった青森に飛び、そこから夜行列車を使って札幌へ行く旅を企画した。

これが好評で、実際にこのルートを旅した韓国のジャーナリストが記事にしてくれたこともある。

――日本を鉄道で旅する面白さは?

日本の鉄道は地域の特性が見られるのが楽しい。車内でライブ音楽のパフォーマンスがあるなど、イベントも盛りだくさんだ。スタンプラリーでさまざまな駅を旅する企画も楽しい。

列車のデザインも、工業デザイナーの水戸岡鋭治による九州新幹線のデザインや、アニメの『新世紀エヴァンゲリオン』を描いたものなど、見ているだけでわくわくする。

地方を走る列車のスタイルは、古典的だが洗練されている。そうした列車に乗りたくて、あえて普通電車に乗ることもある。車内トイレに汚れがないなど衛生面も良く、路線案内の看板も分かりやすい。韓国の鉄道会社も見習うところが多い。

特に趣があるのは1両編成の列車。乗客同士の会話に温かい雰囲気があり、眺めていると人情を感じる。

<2020年2月11日号「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集より>

https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2020/02/999.php
Newsweek 2020年2月19日(水)11時15分 朴辰娥(パク・ジナ)

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鉄道旅行の専門家として独立した徐(ソウル駅)

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今でも現役のSLに感動(大井川本線)

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被災地の駅も訪れた