韓国政府が院内感染によるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大を食い止めるため、呼吸器疾患者と一般の患者を分離して診療する「国民安心病院」を指定して運営することにした。軽い風邪の場合、医療機関を受診しなくても、電話相談で処方を受けることが一時的に認められる。国防部は22日から全将兵の休暇や外出、外泊、面会を統制することにした。

 中央事故収拾本部(中収本)は21日、このような内容を盛り込んだ「COVID-19の地域社会への拡散防止に向けた防疫対策強化案」を確定して発表した。まず、病院内の集団感染を防ぎ、国民の不安を和らげるため、「国民安心病院」を指定することにした。安心病院では、病院を訪れた瞬間から入院するまでの全ての過程で、呼吸器患者を一般患者と分離して診療することになる。保健当局は2015年のMERS(中東呼吸器症候群)事態当時も、国民安心病院を運営したことがある。医療機関によって外来診療の動線だけを分離するか、選別診療所・入院室まで分離して運営されるものとみられる。政府は、医療機関がCOVID-19の診療で損害を被ることがないよう、損失補償対象と範囲などを検討中だ。軽い風邪の症状がある患者に対しては、医院で電話相談や処方を受けられるよう、期限付きで規制を緩和することにした。医療法第34条は、患者と医療陣間の「遠隔診療」を禁止している。しかし、感染に対する不安から一般の患者が診療を受けられない問題を解消し、院内で感染が広がる状況を避けるため、医療法が禁止した遠隔診療を一時的に許可するということだ。

 中収本はまた、COVID-19患者の早期発見に向け、3月末まで検体検査を一日最高1万3千件まで実施できるようにした。重度障害者や高齢者など体の不自由な人を対象に、今月末から移動式検体採取も可能になる見通しだ。

 大邱(テグ)・慶尚北道地域における患者の追加発生に備え、大邱医療院をCOVID-19専門病院に指定する一方、啓明大学東山医療院新築病棟(117床・63の病室)の使用を緊急承認し、可用病床の確保に力を注いでいる。足りない陰圧隔離病床は重症患者にまず割り当て、軽症患者が入院する病室が不足すれば、4人病室を共に使用するようにする計画だ。

 軍当局にも非常態勢に入った。国防部は軍内初のCOVID-19患者が出た直後、チョン・ビョンドゥ長官の主宰で拡大防疫対策本部会議を開き、22日から全将兵の休暇や外出、外泊、面会を統制することにした。ただし、退役前の休暇や慶弔事に伴う請願休暇は正常に実施し、退役前の休暇を控えた将兵らは、部隊に復帰せず、除隊できるように日程を調整することにした。

 政府は新型感染病危機警報は現行の「警戒」段階を維持することにした。パク・ヌンフ中収本部長は「まだ市中感染の初期段階にあり、特定集団を中心に感染が拡大し、比較的原因が明確であるため、『警戒』段階を維持するのが妥当だ」と述べた。

ソン・ダムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

ハンギョレ新聞
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2/23(日) 11:08配信