(ブルームバーグ): イングランド国王ヘンリー6世は1439年に、伝染病と闘うためキスを禁じた。
新型コロナウイルス感染が中国から世界に広がるに伴い、一部の保健当局者もこれに倣い、身体的な愛情表現を避けるよう呼び掛けている。

疫学者らは接触を制限することで感染拡大のペースを抑えることができるかもしれないと言う。
米国人はハグやハイタッチについて、フランス人やイタリア人はあいさつのキスについてよく考えるべきだろう。

ミネソタ大学の感染症専門家、マイケル・オスターホルム氏は、「身近にコロナウイルスの感染が出ているなら接触を控えた方が安全だ。
これはリスクを減らすために個人が自分でできる数少ないことの1つだ」と述べた。

感染が急拡大しているイタリアでは人々がこのアドバイスに耳を貸し始めている。
ローマのエコノミスト、ジョルジア・ニグリ氏(36)によると、人々はあいさつのキスを避けつつある。

「会った時やさよならする時の2回のキスはやめようと言う人が出てきた。
最初は驚いて混乱したが、よく知らない人の大勢のグループでは特に理にかなったことだと思う」と同氏は語った。

シンガポールとインド、ロシア、イランの保健当局はハグとキス、握手をやめるよう呼び掛けた。

ロンドン大学クイーン・メアリー校で教鞭(きょうべん)を執るウイルス学者のジョン・オックスフォード氏は
バレンタインデーに「よそよそしい」あいさつを呼び掛けてタブロイド紙の不興を買ったが、
「今後一生、態度を変えろと言っているわけではない。この危機が解決するまでのことだ」と電話インタビューで話した。

世界保健機関(WHO)は今のところ、ハグとキスをやめるよう勧告してはいないが、ガイドラインではそれが望ましいと示唆している。

WHOの指針は症状のある人との物理的接触を避け、少なくとも1メートルの距離を取ることを勧めている。
ウイルス発生源の中国湖北省武漢に派遣されたブルース・エイルワード氏は24日、中国の社会距離戦略と自己防衛策が感染拡大のペースを抑えていると称賛した。
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