韓国では首都圏のマスク製造業者が27日、工場を閉鎖した。
同社の経営者は「政府の指示に従えば、1日に600万ウォン(約54万円)ずつ損失が出る。工場をなぜ稼働させなければならないのか」と話した。

それによって、1枚500ウォンだった納品価格も1100ウォンに上昇した。
ところが、政府が定めた納品価格は1枚700−800ウォンで、販売手数料(1枚100ウォン)も業者の負担だ。

韓国政府は26日、「マスク緊急措置」を実施した。
生産量の10%以上を輸出することを禁止したほか、生産量の50%以上を政府に納品することを柱にしている。
それを信じ、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相は27日、「1−2日すれば、農協などを通じ、1日500万枚を販売する」と豪語した。

50%を政府に納品するとの条項は、業者に直接損害を与えている。
首都圏のあるマスクメーカーは数億ウォンの違約金、損害賠償金を請求される状況となった。
最大で日産10万枚の同社は、5月まで毎日6万枚を国内の大企業の生産ライン3カ所で働く作業員向けに供給する契約を昨年結んだ。
別の業者とも2万枚の供給契約を結んでいる。

しかし、26日午前、食品医薬品安全処(食薬処)の職員と警察、税務公務員ら4人が工場に押し掛け、1日5万枚の納品を要求した。
政府の要求に従えば、3万枚分の既存契約を破棄しなければならない。
同社の経営者は「取引先が提訴するとまで言っているので、調整できるように支援してもらいたい」と食薬処の職員に告げたが、答えはなかったという。

実際に生産量は急減している。
食薬処によると、14日現在で韓国国内のマスク生産量は1266万枚だったが、26日には984万枚に低下した。
わずか10日余りで22%減少した計算だ。