【有本香の以読制毒】新型コロナで“挙国一致”も左派は妨害!? 朝日新聞、共産党、社民党は「国難」を乗り越える気がないのか
2020/03/07 17:15夕刊フジ

 日本は現在、中国発の新型コロナウイルスの感染拡大という「国難」に直面している。安倍晋三首相は4日、国民生活や経済に甚大な影響が及ぶ場合、政府が「緊急事態宣言」を出して強制力がある対応ができるよう、野党5党首と国会内で個別に会談し、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正への協力を要請した。

ところが、共産党と社民党は反対した。朝日新聞にも否定的な記事が見られる。東京五輪開幕を5カ月後に控え、みんなで力を合わせて危機を乗り越えようという意識はないのか。まさか、政局優先で終息を願っていないのか。何でも反対ならバカでもできる。ジャーナリストの有本香氏が人気連載「以読制毒」で、政府と与野党に覚悟を迫った。



 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、日本人の入国を制限する国が増え続けている。

 3日にはインド政府が、同日以前に日本人に発給したビザ(査証)を無効にすると発表した。これを受けて、東芝などの日本企業が、インドのみならず世界中の駐在員と帯同家族に対し、駐在国を出ないよう指示したと報じられた。いつ再入国できなくなるか分からないからだ。

 現在、インドを含む22の国・地域が、日本からの入国を事実上禁じているが、一時的な措置とはいえ、この状況が日本企業に与えるマイナスは大きなものとなる。

 同じ3日には、ドナルド・トランプ米大統領が、日本や韓国、イタリアの状況を注視していると述べ、3カ国が入国制限の対象になる可能性を示唆した。仮に、米国が日本との人の往来を事実上止める決定をすれば、追随する国が増えるのは間違いない。東京五輪開催(開会式7月24日)を控える日本にとって、崖っぷちの事態と言って過言でない。

 もはや待ったなし。わが国は、いままさに最悪の事態に突入しつつある。感染拡大を抑え込むためのあらゆる策を打つとの決意を全国民で共有すべきときだ。

 安倍首相は4日、「新型インフルエンザ等特措法」の至急改正に向けた協力を仰ぐため、野党5会派の党首と個別会談を行った。

 この異例の事態に、最大会派の立憲民主党の枝野幸男代表らも注文はつけつつ協力する意向を示したと伝えられている。

 実に結構なことだ。政府が目指す13日に法案が成立することを願ってやまないが、この期に及んでなお、法案成立を邪魔するかのような意思表明をしている向きがある。

 4日の会談後、日本共産党の志位和夫委員長は「法改正は断念すべきだと(首相に)言った。与野党を超えて取り組む重大課題だが、首相は基本姿勢を改めてほしい。全国一律の休校要請で専門家の知見を踏まえない政治判断では、国民の理解を得られない。即刻改めてほしい」とコメントしている。

 社民党の福島瑞穂党首は「緊急事態宣言後の私権の制限などが問題だ。(現行の)特措法でやれると考える。首相には『(東京高検検事長の定年延長をめぐり)解釈変更をやっているではないか』と言った」と発言したという。

 あまりにも空気を読まない発言には失笑を禁じ得ないが、この両者のコメントは、いずれも朝日新聞の報道したものだ。

 では、その朝日新聞は、今般の安倍首相の法改正への取り組みをどう評価しているかと言うと、これまたスゴい文言が並ぶ。

 4日20時43分配信の「朝日新聞デジタル」の記事には、「【詳報】首相『法改正やらせて』新型コロナで野党に」という、悪意むき出しに感じる見出しが付けられている。本文は次のとおり、さらにひどい。

 「緊急事態宣言を発する必要がないのに法整備を急ぐ真意が法的お墨付きを得るためだったり、『やっている感』を出したりすることにあるのなら、未来の有権者となる小中高生を含め国民を置き去りにしていると言わざるを得ません」

 説明は不要だろう。

 安倍首相と、与党、野党3会派、さらに無所属の良識的な議員方には、ぜひとも朝日新聞と日本共産党、社民党を置き去りにして、法案成立を速やかに進めてもらいたいものである。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。
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