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 大邱・慶尚北道などでわずか十日間に5000人を超える感染者が出るほど新型コロナウイルスの感染が拡大しながら、予想以上に早期に勢いを抑えられたのは、世界で最も迅速かつ広範で大規模な検査により、早期発見と隔離が可能だったからだ。大邱などで陰圧室が不足して死亡者が発生するなど、防疫上不十分な点もあったが、迅速な検査と隔離により最悪の状況から抜け出し、感染拡大を防ぐことができたと評価できる。

 中国が軍隊を動員した強力な封鎖令で防疫効果を出したとすれば、韓国は新型コロナウイルス遺伝子検査(RT-PCR)を武器に、それ以上の結果を出した。新興宗教団体「新天地イエス教」による集団感染が発生した時、1カ月間で約25万件の検査が行われた。一日に、日本全国でそれまで行われた検査の2倍に当たる約2万5000件を実施したこともあった。医療関係者の間では「『栗谷の10万養兵説』(朝鮮時代の儒学者・李珥〈イ・イ〉が、日本の侵略などに備えて10万人の兵力を備えるよう王に提言したこと)に匹敵する準備をしたからだ」と評価されている。「今回は診断検査医学科の医師たちと関連企業が国を救った」という声もある。

■MERS時に導入された緊急承認制度

 食品医薬品安全処は2017年3月、新型感染症発生時に新規診断試薬と検査法を即時に利用できる緊急使用承認制度を導入した。食品医薬品安全処の所長を務めた経験のあるキム・スンヒ議員=未来統合党=が主導した法案だ。未知の感染症が発生したら緊急性を考慮して臨床試験などを省略し、新診断法を迅速に審議してすぐに使えるようにした。今年1月20日、韓国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が出た後、1週間で食品医薬品安全処と疾病管理本部は緊急使用承認を通じて診断試薬公募を行い、その1週間後に診断キットが現場に登場した。各診断試薬メーカーの機敏な対応もあった。中国・武漢で新型コロナウイルス感染が拡大すると、すぐにこのウイルスが韓国に入ってくるだろうと予想し、初の感染者が出る前に試薬の製造に入った。

■韓国特有の診断検査医学科制度

 韓国内には約1200人の診断検査医学科専門医が総合病院や検査専門機関などで勤務している。韓国のように別途に診断検査医学科医師制度を設けている国は珍しい。

病理学専門医の業務領域に属する。

 大韓診断検査医学会は、全国各地で約150の優秀機関を育成した。疾病管理本部は今回、新型コロナウイルス検体サンプル(陽性4件、陰性3件)を検査機関に送り、調べさせた。これをすべて当てた46の検査機関が選定され、先月7日から検査を開始した。現在は約100機関が新型コロナウイルスの判定を行っている。中東呼吸器症候群(MERS)の感染拡大という経験を経て、疾病管理本部が感染症分析センターと診断管理課を新設したことも大きな助けになった。大韓診断検査医学会のクォン・ゲチョル理事長(忠南大学医学部)は「疾病管理本部と学会の協業で、診断試薬や検査標準化システムを構築したことが奏功した。米国や日本などは検査可能な機関が少ない上、民間検査機関と連携している標準化システムが不足しているため、検査を迅速に拡大できていないようだ」と語った。

■ドライブスルーと宅配方式の検体回収

 自動車に乗ったまま、鼻と口からウイルス検体(試料)を採取するドライブスルー(drive through)方式は、2009年の新型インフルエンザ流行時に米スタンフォード病院で初めて導入された。

今回は仁川医療院感染内科専門医の提案で韓国で多数導入され、70カ所運営されている。選別診療所では1回あたり20−30分かかっていたが、ドライブスルー方式では1回あたり5−10分に短縮、一日の検査件数を増やすのに大いに貢献した。また、全国の病院・医院で検査した後、検査専門機関が「宅配便方式」で検体を回収して結果を通知したのも、迅速で大規模な検査を可能にした。大韓診断検査医学会のイ・ヒョクミン感染管理理事(延世大学医学部)は「ワクチンと、(症状に)合わせた治療が出てくるまで、さまざまな診断ツールで早期発見・隔離治療をすれば、新型コロナウイルス感染症の被害を最小限に抑えることができる」と語った。

金哲中(キム・チョルジュン)医学専門記者

http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2020031880076
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2020/03/18 11:20